Googleによるアップデート保証期間が2022/3で提供終了になったPixel 3に、カスタムROM「CalyxOS」を入れてみました。以前からカスタムROMを焼いて遊んでみたかったので、色々遊んでみます。
「CalyxOS」について
「CalyxOS」は、プライバシーとセキュリティを重視したAndroidベースのオープンソースOSです。
LineageOSにGMS互換のMicroGをコアにして、Datura Firewallなど独自のプライバシー重視機能を追加したようなOS。
MicroGがシステムに組み込まれてますが、あくまで任意オプションでありOFFにすると完全に脱Googleした非GMS環境になります。
制作はCalyx InstituteとCalyx OSチームで、対応する機種はXiaomi Mi A2とPixel 2以降のPixelのみに限られています。
普段見ているミ田ろぐ(ROM焼き試験場)さんでたまたま見つけて、導入が比較的楽そうなのとGMSがないOSを久しぶり触ってみたかったので「CalyxOS」にしましたが、GMSがMicroG互換なので延命というよりはサブとかで遊ぶ人向けな気がします。
大体の場合、玩具にしかならないので下手に手は出さない方が良いです。
ダウンロードリンク
使った個体
中古で買って玩具にしてるPixel 3に入れました。
既にAndroid 12環境でブートローダーアンロック済み、Magisk経由でroot化した個体です。
PCは最近Windows 11にしたメインPCに、adb/fastboot環境を構築したのを使ってます。
「CalyxOS」をインストール
「CalyxOS」の開発・配布ページからイメージファイルを落とします。
ページの中段くらいにある「Download CalyxOS image」からダウンロードできます。

ブートローダーアンロック済みの個体をfastbootモードで起動・adb環境のPCと接続し、Pixel 3はそのまま待機。

ダウンロードしたzipファイルを解凍し、中にある「flash-all」とあるパッチファイルをクリック。

コマンドプロンプトが立ち上がり、インストールが始まります。

Press any key to exit…と表示されれば完了。Pixel 3側をブートローダーからシステムへ再起動させます。

「CalyxOS」が起動します。

「CalyxOS」
初期設定
日本語対応してます。
ブートローダーアンロックのままだと、何かの警告をしてきますが無視。



MicroGをここでOFFにすると非GMS環境、脱GoogleしたAndroidになります。
ただあくまでMicroGはGMS互換なので、一部以外は最近のEMUIみたいにGoogleアプリの使える範囲が微妙だったりしますが。


追加アプリの提案が出てきますが、私はAurora Store以外要らないのでチェックを外しました。
オープンソースアプリならF-Droidに大量にありますからね。必要なのもGoogle Play互換のAurora Storeで事足りるし。


復元をすっ飛ばせばセットアップは完了。緑主張の強い「CalyxOS」が起動します。



色々確認
ベースのAndroidバージョンは12(ダブルライン時計対応版)。
初期アプリ郡はAurora Store以外追加しなかったので、AOSPベースのPixelプリインストールAndroidより少ないです。
あと、Android初期状態で通知バーに常駐する「Googleログインやセキュリティなどのセットアップを完了しましょう!」的なウザいアレはGMSがないので当然出ません。



初期ストレージ使用量は64GB中、大凡11GB弱でRAM使用量は大体2.5GB程度。
GMSが無い分軽量で、Pixel 3の最小構成である4/64GBでも割りと余裕を感じます。


Pixel 3固有のActive Edgeも使えますし、12ベースなのでジェスチャーナビゲーションも完璧。
少しカスタムもできるっぽいです。



GMS互換のMicroGはしっかり動作、各設定も豊富です。
GoogleアカウントをOSレベルで追加するのは、クラッシュするか白い画面で固まるのでできませんが。



Android 12の壁紙とスタイルはAOSPベースそのままに一応使えます。ただ壁紙に合わせて色は変わりますが、自分でカスタムはできないみたいです。
ロック画面はPixel 6が出た当初のクソデカダサい奴から、最近更新されたダブルライン時計に対応してました。



ディスプレイ周りの設定は、AOSPベースのPixelプリインストールAndroidより項目が増えていて、RGBを個別に調整可能。カラー設定はPixelのストックAndroidと変わらず。



ドコモとソフトバンク回線はVoLTE対応、auと楽天はAOSPベースだと表示は出ませんがVoLET対応じゃないと通信できないのでしっかり使えてます。
指紋センサーも問題なし、通知バーはネット上でも酷評の使いにくいAndroid 12のアレ。



日本語には対応してますが、初期だとAOSPの英語キーボードなので日本語入力には別でアプリが必要です。
Aurora Storeから好きなのを選べば良いと思います。



取り敢えず、ここまで見てきて普通にAndroid 12だなーって印象ですが、もちろんただのAndroidOSじゃないです。
ストアアプリはAurora StoreとF-Droidの二段構え
実質的に非GMS環境のOSなので、当然Google Playは無し。
代わりに、Google Play互換の「Aurora Store」とオープンソースのアプリストア「F-Droid」の二段構えです。


正直な話、この2つがあればGoogle Playが無くても殆ど困りません。
困るとしたら「CalyxOS」が非GMS環境だからGoogle系のアプリが無いと動かないアプリがあることくらい。
まぁ「CalyxOS」を焼くような人は、そこら辺は理解しているはずなので無問題。
独自っぽい機能
一部はLineageOSと共通しているアプリや機能がありますが、独自っぽい機能としてVPN・Tor接続も可能でネットワークアクセスを細かく制御できるらしいDatura Firewall機能。
アプリを強制的に一時停止できるApp paused機能なんかがあります。


アルバムやカメラはしょぼい
AOSPそのまんまだったかは覚えてませんが、アルバムやカメラはしょぼ過ぎて控えめに言ってゴミです。


SoCがSnapdragonだからGCam動くだろうと思って(実際ストックAndroidなら動く)apkから入れたら、案の定弾かれたのでAurora StoreからGoogle純正カメラを入れました。(ミ田さん曰く使えるらしい)


アルバム(ギャラリー)はみんな大好き「Gallery QuickPic」に置き換え。
Gallery QuickPicとGoogle純正カメラに置き換わったので最高です。
ちなみにGoogle純正カメラは日本版で、GCamやグロ版と違ってシャッター音が鳴ります。やっぱりクソです。


ChromiumだけどDuckDuckGo
「Calyx OS」は、追加も合わせると4種類くらいデフォルトでブラウザアプリが入ってます。
どれもプライバシーなどを重視して匿名ネット経由や利用履歴を記録しないブラウザですが、初回で追加しなければデフォはオープンソースのChromiumです。
脱Googleのプライバシー重視OSらしく、アプリはChromiumでも検索エンジンは日本じゃあまり聞かないDuckDuckGoでした。まぁ普通に使えます。
ただ、検索エンジンがDuckDuckGoでも広告が少ないとかではないです。まとめサイトの物量には勝てません。



その他
一部のGoogleサービスはMicroGをコアにしてるので互換できますし、そのままでもGboardやフォトは動きます。
ただwebviewやChrome、開発者サービスなどには非対応です。(インストールも不可)
これらに動作が依存しているアプリはAurora Storeから入れることはできても、マトモに動きません。


〇〇Payとか4のキャリア契約・通信確認アプリとかは、webviewとChrome経由のログインができないとアプリがお落ちるor停止なので無理。
おサイフケータイはFeliCa搭載の日本版PixelかつMagiskを隠した状態でも、素では使えないっぽいです。(LineageOSとかみたいに、ROMを焼く前に色々ゴニョゴニョしないと多分、FeliCaの有効化は無理)



YouTubeやGboard、フォトなどの一部Googleアプリは普通に動きます。(Pixelだからですかね?)


ベルゼブブ山本のゲームはアイコン画面のままクラッシュしてプレイ不可。
ただ、オワストの方は何故か動きました。オワドラの方はデータ連携にLINEがあったり、アプリ内から運営サイトにアクセスできる項目がある都合上、webviewが無いから動かないのかもしれません。
まぁ…どっちももうブームは過ぎて集金ゲームと化しているのでどうでも良いです。



原神は「Calyx OS」でも普通に動きます。大陸の方はGoogleないのが普通ですからね。
ただ…60fpsで快適にプレイするならSnapdragon 865が最低でも必要なので、PixelとMi A2じゃ快適にプレイできないでしょうけど。

この辺の動作は非GMS環境の宿命ですね。
ファーウェイ機やAmazonのFireタブレットなんかはデフォルトだとこの状態なので、確かにメインはキツイかもしれません。
日本のアプリの多くはログインや動作にGoogle系のアプリ経由でしか動かないものが多いですから、それらが必要な場合は難しいでしょうね。
あとはGoogle Playで課金して購入したアプリはどうすんだ問題ですが…これはアプリの課金形態次第では何とかなる場合があります。
所謂Pro版とかフルバージョンみたいな感じの課金が、専用アプリの購入で開放される場合は何とかなります。
アプリのapkを両方吸い出して「Calyx OS」を入れた端末に入れれば良いだけですから。



アプリ内からライセンスを買ってアカウント同期で開放される系は、Aurora StoreでGoogleにログインか課金してないと無理ですね。
Magisk導入、CalyxOSをroot化
Magisk導入してroot化もしたので、やり方を残しておきます。
「CalyxOS」をインストールするのに使ったzipファイル「blueline-sp2a~」内にある、「image-blueline」とあるzipファイルを解凍。

中にあるbootファイルを「CalyxOS」がインストールされたPixelのディレクトリへ移動。

Pixel側にapkファイルからMagiskアプリをインストール。


Pixelのディレクトリに移動したbootイメージに、Magiskアプリからパッチを適用。


パッチを適用したイメージを、Pixel側のダウンロードフォルダからadb環境のPCへと再び移動。

Pixel 3をfastbootモードで起動し、PC側でコマンドプロンプトから「fastboot flash boot (パッチしたイメージを指定)」を実行。

Pixel 3をリブートし「CalyxOS」を起動、Magiskにアンインストール、スーパーユーザー権限が許可できる状態になっていれば導入成功です。


カスタムROMでも基本はbootなどのイメージにパッチを当てるか、TWRPから直接Magiskを入れるかのパターンに分かれてるので、前にPixel 3をroot化したときに覚えた知識が役に立ちました。
一度慣れれば導入は簡単です。
遊んでみて
カスタムROMを入れて試すという好奇心は軽く満たせました。


他のROMに手を出すかは不透明ですが…ぶっちゃけ「CalyxOS」で遊んでみて「PixelのAndroidで良い」ってなりました。
Xiaomi機を買って、クソなMIUIからカスROMに移動するなら良いかもですが、Pixelとかの素で使い勝手の良いAOSPベースのAndroidを書き換えるほどじゃなかったって言うのが、素直な感想です。
「CalyxOS」は、UIなどはAOSPそのままでGMSが使えないだけなので、MIUIとか中華系のスキンよりは大分使いやすくて好印象。
別にPixel 3でゲームをする訳でも、YouTubeを見る訳でもないので、GMSがない「CalyxOS」でも事足りると言えば事足ります。root化してアプリの動作確認とか、検証用の玩具として使うだけですからね。

動作も裏でGoogleのサービスが動いていない分、Androidシステムとキャッシュ程度しかないのでRAM4GBのPixel 3でも1~1.5GBくらい空いているくらいには軽いです。
SoCもスナドラ845なので正直、玩具としては過剰でストックのAndroid 12より軽量な「CalyxOS」も相まって、私の用途的にはメインスマホで使っても良いかも…とは思うレベル。
ただ、Aurora StoreがあるのでGoogle Playが無くても殆ど困らないのですが、アプリを入れられることと動作する・しないはまた別の問題で…。
結局、色々検証したり玩具にするなら「PixelのAndroidで良い」って遊んでみて思いました。
まぁ「CalyxOS」を焼いて試す過程で、色々発見もあったので無駄じゃなかったです。
実際に自分で試してみて「んーやっぱり、いらんかな」って感じです。
あとがき
後で「CalyxOS」からファクトリーイメージを使って、Pixel 3向けに3月に配信された最終版のAndroid 12に戻す予定です。それか「LineageOS」を焼いてみるのも良いかも。
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