「TP-Link UB500」をレビューする際に、Bluetoothの接続コーデックをWindows側で確認する必要がありました。
誰もレビュー時に確認していませんし、重要な部分なのに軽視されがちでしたからね。
しかし…Androidなどの様にOS側からSBCやAACで接続されているか確認できれば楽なのですが、Windowsは何故かOS側から簡単には確認できないようになっています。
ですが、どうしても気になってしょうがなかったので、Microsoft製のツール「Windows Performance Analyzer」と「Windows Performance Recorder」を使って確認しました。
ので、WindowsでBluetoothの接続コーデックを確認する方法を記事に残そうと思います。
使うモノ
- Windows 11(10)※AAC.apt-X(HD)サポートは10以降
- PCIe・USBタイプのBluetooth送受信機
- SBC.AAC(apt-X)の複数コーデック対応機器
- Windows Performance Recorder(ログ取得)
- Windows Performance Analyzer(ログ解析)
【参考元】
- 「Bluetoothによるファイル送信の解析」
- 「Windows10 で Bluetoothイヤホン が aptX で接続されているかを確認する」
- 「Windows11でAAC対応になったってホント!?」
- 「Audio over Bluetooth: most detailed information about profiles, codecs, and devices」
使用環境
一応、私のWindows 11環境のPC構成は以下の通りです。(Windows 10/11のPCなら大体実行できるハズ)
CPU | Ryzen 7 3700X@4.2GHz(1.3V) |
CPUクーラー | AMD純正 Wraith PRISM |
マザーボード | B450 STEELE LEGEND(P4.20) |
メモリ | 8GB×4(DDR4-3,200MHz) PATRIOT VIPERSTEELE |
GPU | ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger D 8GB OC |
SSD | Samsung 980 1TB(PCIe 3.0×4) Samsung 860 EVO 1TB(SATA 3) |
電源ユニット | 650W(80+Bronze) 玄人志向 KRPW-BK650W/85+ |
OS | Windows 11 Pro(21H2) |
Bluetoothアダプター | TP-Link UB500(Realtek RTL8761B) |
ダウンロードリンク

Windows ADKをインストール
リンクからWindows ADKのインストーラーをダウンロードし、インストールウィザードを実行。
インストールパスを指定し「次へ」。

インストールする機能の選択画面に進むので「Windows パフォーマンス ツールキット」にチェックを入れ、インストール。(他が不要であればパフォーマンスキットのみに)
初期状態で画像と同じ状態なので、特に気にせずインストールで大丈夫です。

Windowsのアプリ一覧に「Windows Kits」、「Windows Performance Recorder」と「Windows Performance Analyzer」があればOKです。

Windowsターミナルを管理者権限で起動し、ログを取得する
Windowsターミナル(PowerShell)を管理者権限で起動します。

以下のコマンド実行。MicrosoftがGitHubで公開しているBluetoothトレース記録プロファイルをDLさせます。
wget https://github.com/Microsoft/busiotools/raw/master/bluetooth/tracing/BluetoothStack.wprp -outfile BluetoothStack.wprp

そのまま以下のコマンドを追加し、Bluetoothトレース記録プロファイルを実行。
wpr.exe -start BluetoothStack.wprp!BluetoothStack -filemode

トレース記録プロファイル(wpr.exe -start BluetoothStack~)実行後に、コーデックを確認したいBluetooth機器をWindowsシステムと接続します。

接続したBluetooth機器で1~3分程度、メディアオーディオを再生。(音が確認できれば何でもOKです)
オーディオ再生の確認後、ターミナル(PowerShell)に戻り、以下のコマンドを実行してログの取得を停止させます。
wpr.exe -stop BthTracing.etl

「The trace was successfully saved.」の表示が出たら、ターミナル(PowerShell)を終了して構いません。
Windows Performance Analyzerでログを確認する
Windows Performance Analyzerを起動し、「File」→「Open」の順に選択。

先程、管理者権限のターミナル(PowerShell)で実行したWindows Performance Recorderのログファイルを選択。

ログファイルが読み込まれるので「System Activity」と出た部分をダブルクリックし、開きます。

開くとこんな感じの画面になるので、リサーチ(虫眼鏡アイコン)をクリック。

検索boxに「A2dp」と入力して「Find All」をクリックし、実行します。

取得したログの読み込みが開始されます。

リストを移動し、右側にある「A2dpStandardcodecID(Field 2)」「A2dpVendorID(Field 3)」「A2dpVendorCodecID(Field 4)」の部分を確認。

3つの数値によって、Bluetooth機器の対応コーデックを確認できます。
各コーデック毎の数値は以下の通りです。
コーデック | A2dpStandardcodecID (Field 2) | A2dpVendorID (Field 3) | A2dpVendorCodecID (Field 4) |
---|---|---|---|
SBC | 0 | 0 | 0 |
AAC | 2 | 0 | 0 |
apt-X | 255 | 79 | 1 |
apt-X HD | 255 | 215 | 36 |
今回接続したデバイスは、SBCとAACをサポートし「Kirin A1」を搭載した開放型のTWS「HUAWEI FreeBuds 3」なので

SBCの「0.0.0」及び、AACの「2.0.0」がWindows 11側から確認できました。

「A2dp」では対応コーデックの確認ですが、接続中のコーデックを確認する場合は、Streamingの行に移動するか「A2dpStreaming」を検索することでオーディオ再生中のコーデックを確認できます。

「A2dpStreaming」でもAACの「2.0.0」を確認できたので、AndroidだけでなくWindowsでも「FreeBuds 3」の仕様通りAACにてオーディオ再生できています。
また、SBC接続のみの「Echo Show 5」でもログを取得し、確認したところ

「A2dpStreaming」で、SBCの「0.0.0」のみが確認できました。

Microsoftも「開発者を対象にしている」と述べているように、少し手間の掛かる確認方法ではありますが…取得できる情報はかなり正確です。(他にマトモな確認方法がないのでしゃーないのです)
あとがき
手持ちの機器関係でapt-Xを試せていないのが申し訳ないですが、レビューなどで軽視されてきたWindows側でのBluetooth接続コーデックを確認しました。
まぁ…「apt-Xであれば音質が優れていてSBCはゴミ」っていうのは眉唾だと思っているので、私的にはあまりapt-Xに興味がないし気にしてないです。
ちょっと齧っただけの頃は、SBCとかあり得ないって思ってましたが…とある記事やapt-Xの優れている部分を自分で言語化できない、結局はQCCやA1などのBluetooth SoC(SiP)、ドライバーサイズやハウジング(エンクロージャー)形状がオーディオではモノを言うのでどうでも良くなりました。
いつものことながら、検索上位に君臨していて「確認方法を解説・紹介」を謳うページを見ても大半がクソです。
「Windows Bluetoothコーデック 確認」でググっているのに、酷いものばかりで「これ」とか「これ」とか「これ」、挙げ句の果てには「コーデック確認方法は難解なのでやる必要はない」とまで書いてる記事がトップページです。
「TP-Link UB500」をレビューする際も、他の方が書いた情報をチェックするのですが…結構大事な部分であるコーデックの確認している人はいなかったです。おまけに実機レビューなしでSBCにしか対応していないと書く人までいましたし。
ちょっと調べれば”私のような末端のぴちぴち20代の若造ですら”辿り着ける情報を金や商品提供を受けていて、私の「りとらいん」より運営年数のあるメディアの大人連中が、マトモな情報を書かずにいることが腹立たしいです。
全員もれなくキーボードが「あ」と「ほ」しか押せなくなる、若しくはCapsLockが永遠に有効化される呪いにでもかかればいいのですよ。
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