Redmi 12 5Gレビュー:化石GPU性能なSnapdragon 4 Gen 2を採用した評価に困る1台

Android

Snapdragon 4 Gen 2を採用し、日本市場にも投入されたRedmi 12 5Gを購入したのでレビューします。

尚、ミドル以下のスマートフォンをレビューするのが久しぶりなので、最近の記事の書き方をエントリー機のレビューに落とし込む&Snapdragon 4 Gen 2のデータ計測など…実験的な意味合いの強い記事になっています。

スペック・仕様

Xiaomi Redmi 12 5G(XIG03:コードネームsky)
OSMIUI 14(Android 13ベース)
SoCSnapdragon 4 Gen 2(Samsung 4nm 4LPX)
メモリ4/8GB(LPDDR4X)
ストレージ128/256GB(UFS 2.2)
ディスプレイ6.8インチ LCD
(1080×2460/30〜90Hz)
サイズ169×76×8.2mm
重さ200g
バッテリー5000mAh(18W:USB PD/QC 3.0)
カメラ50MP(メイン:s5kjnssq33_m19)
2MP(深度:ov2180_m19)
5MP(フロント:s5k5e9yu05_m19)
インターフェースUSB Type-C(USB 2.0)
nanoSIM+eSIM+microSD(最大1TB)
オーディオモノラルスピーカー
3.5mmステレオミニジャック
Hi-Res Audio(192000Hz)
接続規格Wi-Fi 5(802.11a/b/g/n/ac:2.4/5GHz)
Bluetooth 5.0
NFC(FeliCa対応)
防水・防塵IP53
セキュリティ側面指紋認証/顔認証
備考Redmi 12 5G=Redmi Note 12R=POCO M6 Pro 5G(sky)
日本版はグローバル版Redmi 12 5GにFeliCaを載せた物
公開市場版(SIMフリー)とau/UQ版はファームウェアが異なる
Xiaomi 13Tシリーズの価格発表時、8/256GB版が追加
(スペック参考元:mi.com/GSMArena)

開封・内容物

メイン回線をpovoに移動するために、契約済みのサブ回線をどっかに移行する必要が出て、Snapdragon 4 Gen 2に一応興味があったのでauにMNPして7800円で購入しました。完全に記事ネタ用で欲しくて買ったとかでは無いです。

付属品はXiaomiにしては普通です。ACアダプターやケーブルは不要ですが…ケースとフィルムは揃えたら野口(¥1000)が軽く飛んでいくので、最低限同梱されてるだけでも有り難いです。

パッケージ内容
・Redmi 12 5G
・ソフトケース
・保護フィルム(貼り付け済み)
・SIMピン
・マニュアル類

外観

ポーラーシルバーを選びました。

発表時にXiaomiの人がアピールしていた通り、背面パネルはガラス製で今時のスクエア風な形状で安っぽさは感じません。前面・背面どちらもフラット形状、サイドフレームは樹脂製です。

ポーラーシルバーだと光の当たり具合によって、淡い水色の様なカラーリングでわりと好みです。

Redmi Note 12Rがベースで、一応”Redmi Note 12シリーズ”の血を引いているので、デザインはRedmi Note 12 Turboに近い雰囲気を感じます。

SIMスロットはnanoSIM+microSDカードが1枚ずつ入ります。付属のケースはやや青みがあり、スモーク風の加工がされていてType-Cポート部分にカバーが付いてます。ハッキリ言えばポート部分のカバーは邪魔です。

Redmi 12 5Gの重さは約201gでした。ガラス素材の背面・LCDパネル・5000mAh・6.8インチのスマホにしては抑えられていると思います。

ソフト・ハードウェア

OS:Android 13ベースのMIUI 14

Redmi 12 5Gは、グローバル版かつAndroid 13ベースのMIUI 14をプリインストールしています。

”TMWJPXM”の公開市場版は、ほぼグローバル準拠のハズですが…au版だとファームウェア”14.0.5.0TMWJPKD”になっており、au PAYのジェスチャーショートカットが余計にあったり、少し手が加えられているようです。

最新に近いMIUIをプリインストールしている影響なのか知りませんが、コントロールセンターのスタイルを変更する項目が消えました。無駄にiOSに寄せた物を強制されるため慣れるまではとても使いにくいです。

MIUIをeuROMで常用している身としては、Androidらしい使い勝手の旧スタイルが良く、任意変更可のままでいて欲しかったです…。

加えて、Redmi 12 5Gはメモリ4GBかつエントリークラスの位置付けなため、セカンドスペースやデュアルアプリ、タスク一覧からロックする機能が使えません。

”アプリをロック”機能はセキュリティ内にあるので使えますが、一手間掛かるので何だかなぁ…と思います。

ブートローダーアンロックまでの懲役は何故か167時間です。1時間だけ刑期が軽くなっても…。

Magisk導入時にはAndroid 13機ながらboot.imgにパッチする方式でした。(Snapdragon 4 Gen 2の中身自体は然程新しくないため?)

独自ファームウェアなau版を買ってしまった人は、事前にFastboot ROMを自作でもするか、ネットの海から拾うとか何とかして”TMWJPKD”向けのファームウェアを用意してイジらないと、後で面倒なことになります。

MiFirmなどではau(KDDI)向けのファームウェアが公開されておらず、公開市場版のファームウェアのみです。

ディスプレイ:6.8インチで90Hzな液晶

Redmi 12 5Gは大きな6.8インチで最大90Hz駆動が可能な、IPSパネルのLCD(液晶)を採用しています。

ベゼルや発色、輝度などはLCD相応で可もなく不可もなく、ありふれた普通の液晶ディスプレイという感じです。

(壁紙:https://www.pixiv.net/artworks/91019930)

中華製のデジタルマイクロスコープでピクセル配列を見ると、R/G/B…。Stripe RGB配列のハズ…です。

Redmi 12 5G単体で見る分にはあまり不満にならないですが、有機EL採用機と比べると斜めから見た際の発色や輝度、ベゼル周りはやっぱり見劣りします。

解像度は少し縦に伸びた1080×2460(FHD+)、AdaptiveSync 30/48/60/90Hzの可変リフレッシュレート、タッチサンプリングレートは240Hz、アスペクト比は20.5:9、PPIは396、HDR10とHLGに対応しています。

どうでもいい余談ながら、XiaomiはAdaptiveSync ディスプレイとしてますが…VESAとかAMDに何か言われたりしないんですかねこれ。まぁ…私達消費者が気になった程度でツッコむことじゃありませんが。

ディスプレイ設定は必要最低限の色彩設定が可能な程度です。

”Touch Sample Rate Tester”でのタッチサンプリングレート計測では、Input Event Invoke Rateで103Hz、Movement Rateで251Hz程度でした。

Redmi 12 5GのWidevineはL1で、prime videoなどの動画ストリーミングサービスで高画質な再生が可能です。

生体認証:至って普通

Redmi 12 5Gは側面指紋認証とインカメラを利用した顔認証に対応しています。

認証の精度・速度どちらも普通でロック解除が”爆速”では無いですが、(一昔前の格安モデルやPixel 6系の様に)遅すぎる or 認識されずに困るということもないです。

充電:USB PD・QC 3.0対応

Redmi 12 5Gはmi.comだと急速充電(18W以上の充電器の使用をおすすめする)としか書かれていませんが、インド向けのリネーム品”POCO M6 Pro 5G”のページには18W充電と明記されてます。

手持ちの120W出力が可能な、窒化ガリウム(GaN)採用の”MDY-14-ED”でRedmi 12 5Gを充電したところ、USB PD(Fixed)で9V3Aのネゴシエーションがされて15W前後が出力されていました。

通常のUSB Type-A to Cケーブルを用いて”MDY-14-ED”をただのQC 3.0対応充電器化し、Redmi 12 5Gを充電したところ、QC 3.0で15W前後が出力されていました。

どちらも9V付近で出力されているため、市販のUSB PD18WやQCで18Wに対応するACアダプターと3A流せるUSB Type-Cケーブルを用意すればRedmi 12 5Gには十分です。

欲を言えばエントリークラスでも、Redmi Note 11(Snapdragon 680)でMi Turbo Charge 33Wに対応していたのだから、Redmi 12 5Gも33Wに対応可であれば他社との差別化とアピールポイントになったと思います。

オーディオ

サウンド効果

Redmi 12 5Gのサウンド効果は、最低限のプリセットとイコライザー(イヤホンのみ)などが備わっているだけです。

ハードウェア

独自エンジン採用の音楽プレイヤー”Neutron Music Player”で、Redmi 12 5Gの再生可能な周波数を確認します。

デフォルト設定では、スピーカー・Line-out(イヤホン)出力どちらも48000Hz(16bit)固定でした。

ドライバー設定からHi-Res系の出力を許可すると、スピーカー・Line-out(イヤホン)出力両方で44100Hz~192000Hzまで選択可能になりました。

ネイティブ192KHz(24bit)のWav音源を再生して”なんちゃってハイレゾ対応”では無いことを確認すると、ゲイン80の状態でテストをした場合でも、ノイズや出力低下は発生せずにしっかり再生できました。

再生自体は問題無いですが…メモリ4GB+MIUI 14なRedmi 12 5GとNMP(64bit+CPUリサンプリング)の相性が悪いのか、ゲインを0に落とすとアプリがクラッシュしたり、出力を切り替えると再起動が掛かる現象にテスト中、遭遇しました。MIUI採用機でこういう謎挙動は初めてです。

Redmi 12 5GはAwinic Electronics製のアンプ、aw87xxx-PAを搭載しているようです。aw87で始まるハプティクス向けICは無く、87系はパワーアンプなのでスピーカー用のパワーアンプに採用されていると邪推してます。

モノラルスピーカー、普通のイヤホン出力ということで私的には無評価です。音を出力する用途には使い物になるでしょう。

Qualcommが型番を記載しなくなったので、Aqstiオーディオ コーデック(DAC)も不明ですし。

Bluetoothコーデック

”Bluetooth Codec Changer”で、Redmi 12 5G側がサポートしているコーデックを確認すると、LHDC_V1(V5)/apt X(TWS)/AAC/SBCに対応していました。

Snapdragon 4 Gen 2について(スペック・仕様)

ベンチマークや電力効率測定の前にいつも通り、採用したSoCの解説とかを先にします。

日本では忌み嫌われているSnapdragon 695 5G、TSMC N6が原因でコスト増になり全く採用機の出なかった、先代のSnapdragon 4 Gen 1をカタログスペックの比較表に用いました。

SoCSnapdragon
695 5G
Snapdragon
4 Gen 2
Snapdragon
4 Gen 1
プロセス
ノード
TSMC 6nm(N6)Samsung 4nm(4LPX)TSMC 6nm(N6)
CPU8C8T8C8T8C8T
A78×2:2.2GHz
A55×6:1.8GHz
A78×2:2.21GHz
A55×6:1.96GHz
A78×2:2.02GHz
A55×6:1.8GHz
L3キャッシュ???
GPUAdreno 619(840MHz)Adreno 613(955MHz)Adreno 619(650MHz)
NPU
(DSP)
Hexagon 686Hexagon
ISPSpectra 346T
(Triple 12bit)
Spectra
(Dual 12bit)
Spectra
(Triple 12bit)
RAMLPDDR4X
(2133MHz)
LPDDR5
(3200MHz)
LPDDR4X
(2133MHz)
LPDDR4X
(2133MHz)
ストレージUFS 2.1
eMMC 5.1
UFS 3.1(2.2)UFS 2.2
eMMC 5.1
通信
モデム
Snapdragon X51 5GSnapdragon X61 5GSnapdragon X51 5G
接続規格Wi-Fi 5
Bluetooth 5.2
Wi-Fi 5
Bluetooth 5.1
Wi-Fi 5
Bluetooth 5.2
内部
コード
SM6375SM4450SM4375
(参考元:ReaMEIZU=サン/Geekerwan=サン)

表を見て多くの人が気付く通り、先代のSnapdragon 4 Gen 1は実質的な”骁龙695青春版”…要するに動作クロックを抑えたSnapdragon 695(Lite)です。N6で製造したため4シリーズとしては採用コストが上がってしまいました。

一方、今回のSnapdragon 4 Gen 2はクロックが向上したため、4 Gen 1や695よりCPU性能がやや上なものの、GPUはAdreno 619→613にスペックダウン、カメラ性能に影響するISPやBluetooth(5.2→5.1)が劣化。

GPUは恐らく、他社GPUでシェーダー数(や実行ユニット)に相当する部分の規模が小さく、変わりに動作クロックを高めて規模の小ささを補う、典型的なエントリー向けGPUだと邪推できますが…。

Snapdragon 4 Gen 2と4 Gen 1の関係性は、かつてのSnapdragon 670と675に似たような印象を受けます。

加えて機械学習(AI)などの処理を担当するHexagon(DPS)が、不明なのではなくそもそも搭載されていないそうです。代わりに汎用プロセッサーで処理することになります。

最大の変更点は製造を受託するファウンドリーがSamsungになった点。Snapdragon 4 Gen 2のプロセスノードには、(悪い意味で)名高いSnapdragon 8 Gen 1を製造した”Samsung 4nm(4LPX)”が利用されています。

”4nm”とだけ聞くとSamsungとはいえ、4nm世代にアップグレードされたっぽい印象ですが、Samsung 4nm(4LPX)の実態は5nm(5LPP)で先端のSF4(第2世代)やSF4P(第3世代)の改良された4nmではありません。

まぁ…ローエンド向けの4シリーズを、先端のSF4やSF4Eで製造しても4 Gen 1(N6)の二の舞いに成りかねないので、1度は設計・製造経験のある4LPXをQualcommが再度利用するのは理にかなっていると思います。

素直に喜べる変更点は、足回り(メモリやストレージ)の対応規格がUFS 3.1やLPDDR5にも対応することくらいでしょうか。ただし採用メーカー次第な部分であり、大半の製品はUFS 2.2+LPDDR4Xの組み合わせになります。

正直な話…Snapdragon 695 5GのLite版だった4 Gen 1の低コスト・劣化版と言える代物が4 Gen 2であり「695が嫌がられている日本市場に、695以下の存在を3万円近い値段で持ってこられても…」と思うのですが…。

とはいえ…公式サイトの紹介を読む限り、ミドルクラス並みの高いパフォーマンスとゲーム体験を提供してくれるそうです。Xiaomiがこう言っているので大丈夫でしょう()。

https://www.mi.com/jp/product/redmi-12-5g/

ベンチマークテスト

Redmi 12 5G(Snapdragon 4 Gen 2)の性能をベンチマークします。…するんですが、今回は少し特殊です。

冒頭で書いた通り、今回はミドル機の記事に最近の書き方を落とし込むことと、今後のローエンドやミドル機のレビューで活かすためのSnapdragon 4 Gen 2のデータ測定・収集が目的です。

早い話、Snapdragon 4 Gen 2と比較できそうなSnapdragon 695/480を実機で持って無いし、電力効率のデータも無いです。でもデータ収集だけだとつまらないし、比較役も欲しかったので…。

訳あって手元にある、日本でXiaomi端末と言えばこれを想像する方も多いであろう大ベテラン、Redmi Note 9S(Snapdragon 720G)に復活してもらい、明確な比較対象として用います。

おまけで2023年だとミドル相当なSnapdragon 870(POCO F3)が暇そうだったので、友情出演してもらいます。

3年前の2020年に2万円台(6/128GBなら3万円)で買えたNote 9Sが、2023年に2~3万円で買えるRedmi 12 5Gにどのくらい食らいつけるか見物です。加えて性能的にはSnapdragon 720G≒835≒480なので意外と適切かも…?

テスト端末・環境構成
端末Redmi Note 9S
Redmi 12 5G
POCO F3(Redmi K40)
OSAndroid 13(Pixel Experience+)
Android 13(MIUI 14)
Android 13(Pixel Experience)
SoCSnapdragon 720G(Samsung 8nm)
Snapdragon 4 Gen 2(Samsung 4nm 4LPX)
Snapdragon 870(TSMC 7nm N7P)
メモリ4GB(LPDDR4X)
4GB(LPDDR4X)
6GB(LPDDR5)
ストレージ64GB(UFS 2.1)
128GB(UFS 2.2)
128GB(UFS 3.1)
備考動作クロック・制御:CPU/GPU定格動作
ディスプレイ駆動:60Hz(Note 9S)/90Hz(Redmi 12 5G)/120Hz(F3)
ディスプレイ輝度:各端末での50%固定
通信環境:Wi-Fi5ルーター(5GHz接続)
室温:18℃
(今回は結構ガバガバで厳密な比較とかじゃないです。緩い感じで見て下さい)

今回から消費電力やフレームレートを測定するツールを、TakoStatsより高機能なScene(シーン)に更”新”します。

PerfDogは使いやすく高機能なものの、機能相応の値段かつメディアトライアルで貰ったクォーターは既に失効、おかわりをTencentにお願いするのも面倒。でもKitはちょっと…。GameBenchは…ありましたね、そんなの。

かと言ってTakoStatsは、記録するまでの手順が使いやすいとは言えず、消費電力測定もデュアルセルでの相性問題やAndroid 14への対応が遅れている点、使い勝手含めSceneの下位互換なので、保険的なサブ存在に格下げです。

Geekbench 5

電力効率の比較は(データが無いので)できないものの、ローエンド帯のデータが幾つかあるので久々にGeekbench 5を測定。通常版(5.5.1)でシングルスコア711・マルチスコア2094でした。

過去に計測したデータと比較すると、Snapdragon 4 Gen 2のCPU性能はかつてミドルクラスで定番だったSnapdragon 765Gを明確に上回り、比較対象に用いたSnapdragon 720Gの約1.4倍近いマルチ性能です。

シングル性能もCortex-A78が2.21GHzで動作するため、かつてのハイエンドSoCであるSnapdragon 845を引き離して855+寄りの性能を発揮します。少なくとも遅いCPUで無いのは確かです。

Geekbench 6

電力効率を測定し始めたGeekbench 6では、AndroPlus=サンがパッケージ名を変更したベンチマークブースト対策版(6.1.0)でシングルスコア925・マルチスコア2172でした。(※ローエンドなのでブーストの有無は確認しません)

製造技術的な部分の差異を見たいので、Samsung 4nm(4LPX)のSnapdragon 8 Gen 1とSamsung 5nmのTensor G1のデータを持ってきました。あまりにもPixel 8 Proの記事で「長い」と言われたのでコンパクト化もします。

Geekbench 5同様にSnapdragon 720Gを上回るスコアです。2023年だとミドル相当なSnapdragon 870やTensorには2段くらい劣るCPU性能で、位置付け通りローエンドからミドルロー向け相応の存在です。

とはいえ私達がスマートフォンを使っている間、常にCPUが100%で稼働することはなく、ピーク時のパフォーマンスと消費電力だけで判断することは適切ではないので、周波数毎の”電力効率区分”を計測・グラフを作成します。

テストは至ってシンプルで各端末をroot化し、CPUクロックをユーザー側で調整できるようにします。

周波数テーブルの上限、ベンチマークで示されるピーク値の”高クロック”、最大周波数の半分になるべく近いクロックを採用した”中クロック”、最低周波数に固定した”低クロック”の大/中/小に区分け・適用してスコアと消費電力を計測します。最終的にスコアを消費電力で割ると大まかな電力効率を見れます。

(例:Snapdragon 720GとSnapdragon 4 Gen 2の場合)

各SoCの区分けした動作クロックのスコアと消費電力は以下のグラフの通りです。

Snapdragon 4 Gen 2のCPU電力効率は、5W以下の4.12Wでマルチスコア2172を叩き出すため、ピーク時に限りSnapdragon 870(TSMC N7P)を上回ります。効率スコア527.1は一応、Snapdragon 8 Gen 2(544.9)並です。

一方、中周波数域だとSnapdragon 720Gよりやや上、最低周波数だとTensor G1以下でワーストです。

Snapdragon 4 Gen 2は悪くない電力効率ですが…とても良いとも言えません。単純にフルロード時含めて消費電力が少ないだけという気がしています。マルチスコア2000を出すのに870なら3.5W前後で済みます。

ローエンドやミドルは最大性能の天井が決まっているため、ハイエンドを低クロックで動作させればさせるほど中~低クロックでの効率の良さに開きが生じるのはArm系CPUに限らず、プロセッサー共通です。

Snapdragon 870や720G搭載機の電池持ちの良さ、逆にTensor(Pixel 6系)の電池持ちの悪さは大まかとはいえ、CPU電力効率区分通りな印象です。ミドルやローエンドを製造する分にはSamsung 4nmも悪くないと言えます。

3DMark

2560×1440pの解像度でVulkan APIを用いてGPU性能を計測するベンチマーク、3DMark(Wild Life)のベンチマークブースト対策版で、Snapdragon 4 Gen 2はスコア667でした。

過去に計測したWild Lifeのデータと比較すると、Snapdragon 4 Gen 2(Adreno 613)のGPU性能はカタログスペックと噂通り、2世代前のSnapdragon 480(Adreno 619)に約33%も劣り、Snapdragon 870(Adreno 650)の約15%程度のGPU性能しか発揮できません。

消費電力は3つのSoCしかデータがありませんが…性能相応に低いかと思いきや、Snapdragon 720G(Adreno 618)以下で消費電力は同等以上の3.27Wでした。

GPUのワットパフォーマンスは極めて悪いです。…というか悪すぎます。5W前後の870の4分の1以下です。

呪われているのか知りませんが、4nm(実態は5nm)で製造した低性能なGPUが、8nm(改良型10nm)で性能が上なGPUと消費電力がほぼ変わらないのが不思議です。前者が相応に電力も低いなら理解できるのですが…。

PCMark for Android

Webブラウジングや写真・動画編集、データ操作といった一般的なタスクでの性能を計測する、PCMark for Android(work 3.0)のベンチマークブースト対策版で、Redmi 12 5Gはスコア9259でした。

一先ずスコア8~9000前後であれば、日常使いはある程度ストレス無く使用可能で、スコア10000以上なら尚良しといった具合なので、Redmi 12 5G(Snapdragon 4 Gen 2)は日常使いで支障が無い性能を有しています。

一応、定番だったSnapdragon 765Gや720Gを上回り、Cortex-A78(2.21GHz)採用と後述するストレージ性能の影響なのか、Snapdragon 480から約1.27倍伸びています。

mozilla kraken 1.1

シングルスレッド性能の差が反映されやすく、ブラウザ上で動作するベンチマーク”mozilla kraken 1.1”でWebブラウザの処理速度をテストします。単位はミリ秒(ms)で1000msを下回っていれば実用的な結果です。

Redmi 12 5G(Snapdragon 4 Gen 2)の合計処理時間は1280.9msで、重たいWebページでも単純計算だと1.28秒で処理が可能。

思っていたより速く、PCMarkの結果も考慮してそこそこ快適なネットサーフィンができると思います。ミドルハイクラス(8 Gen 1や7+ Gen 2)と比べてやや遅いけど、旧ミドルの7シリーズよりは速い絶妙な位置です。

CPDT Benchmark

クロスプラットフォーム対応のCPDT Benchmarkで、モバイル端末でも非常に重要なストレージ・メモリ速度を計測します。テストのファイルサイズは1GB、BufferingやCacheはOFFの標準設定です。

Redmi 12 5G(LPDDR4X/UFS 2.2)は、シーケンシャルでライト約441MB/s・リード約800MB/s、ランダムでライト25.31MB/s・リード29.42MB/s、メモリコピーでは5.11GB/sでした。あれ、意外と高速ですね…。

過去に計測したいくつかのデータも用いて比較すると、ミドル以下では優秀…というかシーケンシャルライトはUFS 3.x系に匹敵、シーケンシャルリードもUFS 2.x系では中々な速度です。

ランダム性能も上々どころか、ライトは25.31MB/sでそれなりですが…リードは29.42MB/sで(この中では)最速です。

…思っていたより良く動くのは、Snapdragon 695と同等なCPU性能+UFS 3.x並に速いストレージ性能が起因しているかもしれません。ビックリ&素直に評価できるポイントです。

メモリ性能はLPDDR4X相応で、流石にLPDDR5採用機とは絶対的な差があります。

RealSR-NCNN-Android

Snapdragon 4 Gen 2はNPU(DSP)のHexagonが非搭載なので、AIベンチマーク(MLPerf)を起動させることすらできませんでした。まぁ…評価対象のNPUが無いんじゃ仕方ないです。

いつも通り簡単なAI性能テストとして、機械学習(AI)を用いた画像のアップスケーリングをテストします。

Real-ESRGANをベースにしたシンプルなアプリ”RealSR-NCNN-Android-GUI”を使い、適当にStable Diffusionで生成した、画像1枚(1080×1920px)をモデル”real-esrganv3-anime”でGPUを使って処理させ、2・4倍へアップスケーリング後にResultで確認できる合計処理時間(秒)で比較します。

1080×1920(FHD)から2160×3840(4K)・4320×7680(8K)に、GPU処理で2・4倍へアップスケーリングした場合、Snapdragon 4 Gen 2はそのGPU性能の低さ故に、Snapdragon 720Gに大敗して大幅に処理が遅れています。

画像のアップスケーリングは基本的にGPUで処理した方が速いんですが、下手したら本来使いたくはないCPUに処理させた方が速いかもしれません。

…気になったらやらざるを得ないですよね?予想通り、Adreno 613に処理させるよりもP2+E6な8コアに処理させた方が倍以上に高速でした…。

CPU・GPUストレステスト

CPU Throttling Test

発揮可能な性能の100%を基準に、発熱による性能低下時のCPU性能や安定性を計測できるストレステスト、CPU Throttling Testを最大負荷の100スレッド、20分間実行してCPU性能の安定性を確認します。

Redmi 12 5G(Snapdragon 4 Gen 2)はその消費電力の低さ故に殆ど発熱しないのか、今までテストした端末の中で初めて”No CPU thermal throttling detected”表示を記録、CPU性能を落とさずに維持し続けました。

安定性に定評のあるSnapdragon 870や720Gですら流石に90%前後が限界のところ、Samsung 4nm(4LPX)なSnapdragon 4 Gen 2はたった29℃までしか温度上昇せず、終始性能をキープ。…凄まじい安定性です。

CPU部分の良さ(低消費電力=低発熱=安定性◎)だけは目を見張るものがあります。

3DMark Wild Life Stress Test

ベンチマークブースト対策版の3DMark(Wild Life Stress Test)でGPU性能の安定性を確認します。

Redmi 12 5G(Snapdragon 4 Gen 2)は、最大スコア666・最低スコア664で安定性は99.7%でした。

性能相応の結果です。発揮されるパフォーマンスの天井が低い分、発熱や性能低下は一切ありません。

とはいえ、CPU Throttling Testと3DMarkでのストレステストは使用率99(100)%に張り付いた状態、非現実的な使用下での安定性というか持続力を見れるだけなので「酷使したらこんなもんかな」程度のテスト結果です。

ゲーム性能

ベンチマークテストの結果は所詮、最大性能を測定するための存在・簡易指標でしかないです。

ただし…今回のRedmi 12 5G(Snapdragon 4 Gen 2)の場合は、ベンチマーク結果・カタログスペックの時点でSnapdragon 480(≒720G≒835)よりもGPU性能が低く、ゲーム適正があるとはお世辞にも言えないです。

一応、今後のためにデータ測定を行いますが、ミドル以下のテストタイトルは原神とスターレイルの2つに絞り、画質設定は”中(Medium)”に統一します。

2タイトルにする理由はいくつかありますが、レスレリは純Arm IP(回路設計データ)ベースなMali GPUのDimensityやTensorに最適化されておらず、Snapdragon 8 Gen 2すら性能不足になる不安定なタイトルであること。

メガニケも同様に裏でテストした限り、DimensityやTensor(と870以前のSnapdragon)への最適化が不足しており、Snapdragon 8 Gen 1以下では60fpsを安定させれず、メガニケの面白さや魅力に触れられないのでミドル以下の45fps以下にてプレイするのは、作品への冒涜にも等しいためわざわざテストしません。

逆にSnapdragonやDimensity問わず性能を発揮させやすいうえに、設定を下げるとミドル以下でもある程度は適応可能になる原神やスターレイルは、多くの端末と環境で指標・テストに用いやすい存在です。

計測には引き続きScene(root)を利用、TakoStatsと違って最低フレームレート1%(=99%Tile)は自動計算されないので、CSVファイルをエクスポートして再計算してます。

崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)

訳あって先にSnapdragon 855・Dimensity 1000+RAM6GBクラスが推奨スペックな、崩壊シリーズ最新作のAAA級タイトル「崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)」でのパフォーマンスをテスト。

GPU負荷の重い、仙舟「羅浮」の星槎海中枢をグラフィック(中)+60fps設定で、一定のルートを時計回りに30分間歩き回りフレームレートを測定。

GPU性能が大きく動作に影響するスターレイルでの結果は分かりやすく、Snapdragon 4 Gen 2(Adreno 613)は平均18.4fps・最低(1%)14fpsで予想通り、Snapdragon 720G(Adreno 618)に劣る結果になりました。

GPU使用率は99%で動作クロックは955MHz、完全に上限まで使い切っているため単純にGPU性能不足です。

消費電力が低かろうとフレームレートが出なければ効率は良くなく、3DMarkに近い傾向でSnapdragon 4 Gen 2はGPU負荷の掛かる用途での電力効率は悪いです。ただ…使用率99%が30分間続いても全く発熱しません。

原神(Genshin Impact)

Snapdragon 855+RAM6GBクラスに推奨スペックが引き上げられた、AAA級タイトルの1つ「原神(Genshin Impact)」でのパフォーマンスをテスト。

個人的に唯一、Redmi 12 5G(Snapdragon 4 Gen 2)で試したかったこととして、中華圏の評価でRedmi 12 5Gは原神のレンダリング解像度が640pだとされています。

今後の検証でレンダリング解像度がある程度把握・揃っていると微妙ながら役に立つので、CR²FSと勝手に呼んでる鋸歯とは別のやり方でRedmi 12 5Gが実行・レンダリングしている解像度を確認。

Redmi K60 ProやXiaomi 13などが実行可能な864pでは、アンチエイリアスOFFでオブジェクトに対して斜めに生じるジャギーが21(22)段、Android標準のレンダリング解像度の720pでは19段、Redmi 12 5Gなどの640pでは720pから減少して15(16)段でした。どうやら本当に720pでは無いようです。

原神のテストには中華圏でも性能テストとして用いられている、スメールシティを夜蘭の元素スキルでランニングし続けるものを採用。いつも通りの夜蘭(C1)で約4分のルートを、中画質(568p)+60fps設定で30分間走行。

原神の場合でもSnapdragon 720Gに、Snapdragon 4 Gen 2が負けてしまうのは覆りません。ただ…少しだけ状況が異なります。

Snapdragon 4 Gen 2が平均22.6fps、720Gが平均23.5fpsでスターレイル程の差はありません。

1フレーム辺りの消費電力(ワットパフォーマンス)とバッテリー温度の傾向は、今までとあまり変わりません。

前に検証した通り、原神とスターレイルはどちらもAAA級タイトルですが、動作に影響する部分は異なり「原神=CPUボトルネック・スターレイル=GPUボトルネック」です。ただ重いだけの存在ではありません。

中画質かつミドル以下でテストした今回もこれらが影響し、Snapdragon 4 Gen 2はスターレイルだと化石なGPU性能が足枷となりSnapdragon 720Gに明確な差がついて劣ります。

一方で原神でも結局は劣る性能ながら殆ど差が無かったのは、Snapdragon 720GだとCortex-A76+A55構成のCPUがネックになりGPUを完全には使い切りません。

Snapdragon 4 Gen 2は、Cortex-A78+A55構成のためGPUを限界まで使い切り、720Gより原神ではボトルネックになっていませんでした。CPUが影響する800p以下の原神では、GPUで劣っていてもこういう結果になります。

まぁ…どちらにしろ30fpsすら安定しないので、Snapdragon 720G(≒480≒835)のGPU性能がSnapdragon 4 Gen 2以上だろうと、4 Gen 2が原神だとボトルネックの影響で大きく劣らなかろうと団栗の背比べでしかないですが。

他の量産型スマホレビューアー人がやらない…というかベンチマーク結果だけで判断してるので、一応何故こうなるのかだけ書いておきました。これをどう判断するかは記事を読んだ読者=サン次第です。

カメラ

Redmi 12 5Gはトリプルカメラ風に見える、メイン+深度の”実質シングルカメラ”構成です。

Device Info HW+Magisk(root)で採用センサーを追ってみたものの、SamsungやOmniVision製センサーをいくつか採用候補にしていた程度しか分かりません。

一応”_m19_sunny”とあるセンサーを搭載したっぽいのですが、SamsungやOmniVisionのサイトで該当するセンサーを見つけられなかったので、結局何が載ってるのか不明です。ごめんなさい。

カメラセンサー
メイン 50MPs5kjnssq33_m19
深度 2MPov2180_m19
フロント 5MPs5k5e9yu05_m19

いつも通りの簡単な数枚のサンプルと雑感。りとらいんでカメラ周りについて触れるのは(多分)最後です。

私よりスマホのカメラに詳しい人は日本でもごまんといて、私的にはプロセッサーの性能と電力効率やゲーム関係を最近重視しています。好き勝手に書きたいから、他がやってて個人的に興味無い部分を省くって感じです。

比較には手持ちの中で写りが普通な、1/2型センサー”OV64B(OIS)”を採用するRedmi Note 12 Turbo(euROM/AI OFF)を右に置いておきます。

Redmi 12 5Gは色味が薄く、明るい場所でも解像感に欠ける典型的なエントリークラスの画質って印象です。

一昔前のSnapdragon 662(665)世代、OPPO A73やRedmi 9Tに毛が生えるか変わらないような感じで、フォトスタジオとか照明のある場所でメモ程度に写るか怪しい画質。5000万画素に最初から期待しない方が吉です。

ISPの劣化やセンサーなどハードウェア側の性能も足りてなさそうですが、ソフトウェアも大して調整されてなさそうです。Google CamerことGCamを入れると、デフォルトよりかなりマシになります。

まとめ:思ってたより良いけど…SD480ほどのインパクトは無い

良い悪い
・ケースとフィルム付属
・安っぽくは無いガラス素材の背面
・普通に使うなら困らない90Hz対応の6.8インチLCD
・至って普通な生体認証
・Snapdragon 695 5Gと同等以上の”CPU性能”
・UFS 3.x系に匹敵する速度のUFS 2.2ストレージ採用
・消費電力が低く、非常に安定性”だけは”高い
・IP53・FeliCa対応かつMIUI 14なのでBLU可能
・ISPやGPUが劣化した誰得SoCのSnapdragon 4 Gen 2
・Snapdragon 480や720G以下の”GPU性能”
・コントロールセンターのスタイルが固定化されたMIUI
・心もとない4GBメモリ or ローエンドには過剰な8GB(グローバルや大陸版の丁度良い6GBはどこへ?)
・2023年水準だと遅めな18W充電
・モノラルスピーカー
・実質シングルカメラ&一昔前のローエンドと大差無い画質
・4/128GB(2.5~2.7万円)、8/256GB(約3.5万円)で安くは無い

冒頭で書いた通りMNPで定価より安かったから記事ネタに買っただけで、全く期待もしていなければ、ある程度は事前情報でSnapdragon 4 Gen 2について知っていたので「まぁ…こんな物だろう」といった感じです。

期待していなかった分、採用したUFS 2.2のストレージ速度や普段使いでの性能の十分さ、Samsung 4nm(4LPX)なわりに消費電力が低くて、Snapdragon 4 Gen 2のストレステストにおける安定性の高さに多少…驚きました。

あとは気になっていた原神のレンダリング解像度が640pな部分が確認できて、今後何かしらに使えるかな…とかそれくらいですかね。他は別に…。

Redmi 12 5Gは、良くも悪くも至って普通に使える現代水準のローエンドスマホ、それ以上でもそれ以下でもないです。正直…Redmi 12 5Gよりも良い選択肢はいくらでもあるので、敢えて選ぶかは微妙なところです。

たまに「Snapdragon 695ばかりだから4 Gen 2が日本に来て嬉しい」という意見を目にしますが、途中で触れた通り4 Gen 2はCPU以外劣化したSnapdragon 695です。何故695はNGで4 Gen 2はOKなのか分かりません…。

購入してテストし、データ収集はできましたが…Redmi 12 5G(Snapdragon 4 Gen 2)をどう評価したら良いのかまだ困っています。ネガティブに書きすぎると村を焼き払われた生き残りとか、恨みがあるとか言われるし…。

私がRedmi 12 5Gを使う理由は特に無いので、Snapdragon 665(A5 2020)を未だに壊れないからと使っている身内に、Redmi 12 5Gへのアップグレードを打診して無事に旅立って行きました。