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OnePlus 12レビュー:Snapdragon 8 Gen 3の性能や電力効率は如何程か?【圧倒的】

Android

新しいメイン機&Snapdragon 8 Gen 3のデータ測定機としてOnePlus 12を購入しました。

大分出遅れましたが…いつも通り、Snapdragon 8 Gen 3の性能等を検証しつつ、OnePlus 12をレビューします。

スペック・仕様

一加12・OnePlus 12(PJD110/CPH2581)
OSOxygenOS 14.0(Android 14ベース)※¹
SoCSnapdragon 8 Gen 3(TSMC 4nm N4P)
外部処理装置Pixelworks X7(PX8768)
メモリ12/16/24GB(LPDDR5X)※²
ストレージ256/512GB/1TB(UFS 4.0)※²
ディスプレイ6.82インチ LTPO AMOLED
(3168×1440/1~120Hz:LTPO/Gorilla Glass Victus 2)
サイズ164.3×75.8×9.15mm
重さ220g
バッテリー5400mAh(デュアルセル2700mAh×2構成:100W SUPERVOOC)
カメラ50MP(メイン:Sony LYT-808+OIS 1/1.4型)
48MP(超広角:Sony IMX581 1/2型)
64MP(3倍望遠:OmniVision OV64B 1/2型)
32MP(フロント:Sony IMX615 1/2.74型)
インターフェースUSB Type-C(USB 3.x Gen 1/5Gbps)
nanoSIM×2(eSIM※³)
オーディオステレオスピーカー(アンプ:tfa98xx)
Dolby Atmos
Hi-Res Audio(192000Hz)
接続規格Wi-Fi 7(802.11a/b/g/n/ac/ax/be)
Bluetooth 5.4
NFC
防水・防塵IP65
セキュリティ画面内指紋認証/顔認証
備考・※¹中国版はColorOS、グローバル版はOxygenOS
・※²16GB/1TB・24GB/1TB構成は中国版(PJD110)
・※³eSIMはグローバル版
・PJD110(中国)/CPH2573(インド)/CPH2581(欧州)/CPH2583(アメリカ)
(スペック参考元:oneplus.com/GSMArena/WeikHome=サン)

開封・内容物

ちょっと色々あって「確実に買うこと」を優先し、中華ECと比べると(かなり)割高ながら野木亜堂本店で12/256GB(中国版)を購入。2/26に注文して、27(香港)→28(成田)→西濃運輸経由で29日には届きました。

発送・到着までの日数は評判通り速く、修理保証や日本のショップであったりと悪く”は”ないです。フリマや買えない/届かないよりはマシ…。

箱潰れも無く綺麗な状態で届きました。内容物は中華系らしく、ケースやACアダプター等が一式揃ってます。

パッケージ内容(中国:一加12版)
・OnePlus 12
・ACアダプター(5V2A-11V9.1A/最大100W※200-240V地域のみ)
・USB Type-A to Cケーブル
・保護ケース
・画面保護フィルム(貼り付け済み)
・SIMピン
・マニュアル類
・OnePlus ロゴステッカー

余談として「十年旗舰 超越之作」であるOnePlus 12の中国版パッケージには、箱の内側に「一加 10周年特别感谢名单」が記載されています。特別版とかでは無いですが、こういうの割りと好きです。

外観

白を買ってる人が多い&私物が大体黒系なので、岩黒(Silky Black)を選びました。背面のガラスパネルは触れるとサラサラとした感触で、マット加工のおかげで指紋が付きにくく上質な質感です。

ただの黒では無いようで、光の当たる角度によっては若干変化します。OnePlus 11のデザインを踏襲し、より大きくなったカメラ部分は高級時計のような加工が施されています。

HasselbladのHロゴとF値やmmの表記も合わさり、シンプルながら高級感やフラッグシップの風格を犇々と感じられ、近年のハイエンドやフラッグシップモデルの中では比較的私好みなデザインです。

前面はカーブ(エッジディスプレイ)、背面もアルミ合金製のフレーム側に向けてラウンドした形状で、デカいサイズながら比較的持ちやすいです。

本体上部に赤外線ポート、下部にスピーカーやUSB Type-C(5Gbps)、SIMスロットがあり、OnePlus 12では他社のように、使いやすい正面(ディスプレイ)右側にボリュームと電源ボタンの配置になりました。

マナーモード等への切り替えが簡単な、OnePlus端末の特徴的なアラートスライダーは正面左側です。

OnePlus 12の重さは、貼り付け済みのフィルム込みで約221gでした。

6.82インチの大画面や3倍望遠、大型VC冷却等を備えるだけあって重めです。

ソフト・ハードウェア

OS:使い勝手の向上したOxygenOS 14.0

OnePlus 12は恒例通り中国版にはColorOS、CPH2581等のグローバル版ではOxygenOSを搭載しています。私はPJD110(中国版)に、OxygenOSが焼かれたOnePlus 12を買ったので中身は欧州版になってます。

OxygenOS 14.0は「OnePlus Trinity Engineの独自テクノロジーがエクスペリエンスを~」とか謳っているので、色々進化したっぽいですが…基本的に、OxygenOS 13.1と大きくは変わらないです。

とはいえ、OxygenOS 13.1→14.0で使い勝手が向上(やっと改良)された部分もあり、OxygenOS 14.0ではようやく”アプリ固有のリフレッシュレート”として、アプリ別に設定できるようになりました。

また、他のカスタムAndroid(UI)では標準装備と言わんばかりに実装済みだった、”〇〇%で充電停止”機能も(一応)ようやく使えるようになり、今までのOxygenOSで痒い所に手が届かなかった部分が改善されてます。

OxygenOS 13.1の時点で使いやすいOSだったので、改良された14.0はroot未取得の状態でも割りと良いように思えました。(もっともこれはOnePlus 12に限らず、他の14.0対応機にも当て嵌まる)

ちなみに”OxygenOSが焼かれたOnePlus 12”と書いた通り、既に中国版のOnePlus 12にOxygenOSを焼く手順がいくつか確立されていて、ColorOS⇔OxygenOSの焼き直しも比較的簡単なようで、グローバル版より安い中国版をOxygenOS化する or された物を買うのが個人的にはベターだと思ってます。

モバイル通信・通話:VoLTE対応

OnePlus 12の対応バンドは以下の通りです。

一加12(PJD110)
5GNR:n1/n3/n5/n7/n8/n20/n28A/n38/n40/n41/n77/n78/n66
4GFDD-LTE:B1/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28A/66
TDD-LTE:B34/38/39/40/41
3GWCDMA:B1/4/5/8
2GGSM:850/900/1800MHz
OnePlus 12(グローバル)
5GNR:n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n25/n28A/n28B
   n30/n38/n40/n41/n66/n71/n77/n78
4GFDD-LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28A/28B/30/32/66/71
TDD-LTE:B38/39/40/41/48
3GWCDMA:B1/2/4/5/6/8/19
2GGSM:850/900/1800/1900MHz

中国・グローバル版どちらでも、日本国内の通信事業者で使う分には特に問題無いと思います。手持ちの”Y!mobile”と”povo2.0″のSIMを入れて問題なく通信が可能&VoLTEが有効化されました。

ディスプレイ:非常に高品質な”X1 Oriental Screen”

OnePlus 12はBOE X1発光材を採用した6.82インチ・3168×1440(QHD+)解像度で、1~120Hz(LTPO)駆動のエッジディスプレイを搭載しています。サブピクセルはダイヤモンドピクセル配列です。

OnePlus&BOEによる”X1 Oriental Screen”と呼称されるOnePlus 12のディスプレイは、(中国産2Kで)DisplayMate A+認定を初取得し、最新の8T LTPO対応やピーク輝度4500nitを誇る非常に高品質なAMOLEDです。

(壁紙:https://www.pixiv.net/artworks/108134211)

とりあえず、OnePlus 12のディスプレイは”最高”の一言に尽きます。苦手な方も多いエッジディスプレイ(私も苦手)とはいえ…それでも一度はBOE X1発光材の画面を体感して欲しいくらい良いです。

Mi 11i(Samsung E4)で初めて、DisplayMate A+評価のディスプレイを体感した時も感動レベルでしたが…あの時と同等以上の感動を覚えました。透明感が強いというか水晶を見ているような感覚になります。

1~120Hz(LTPO)の可変リフレッシュレート、DolbyVisionやHDR10(+)等に対応しています。解像度はQHD+からFHD+に落とせます。WidevineセキュリティレベルはL1です。

OnePlus 12ディスプレイスペック
解像度/PPI/対応HDR・リフレッシュレート
色彩設定など
DRM・Widevine セキュリティレベル:(L1)

生体認証:スムーズで快適

OnePlus 12は画面内指紋認証とインカメラを利用した顔認証に対応しています。言うまでもなく、認証精度・速度どちらもスムーズで生体認証に不満は無いです。

OnePlus 12は指紋認証センサーの位置が中央寄りです。どっちでも指が届くので気にしたことは無いですが、人によっては下側寄りの端末より使いやすいかもしれません。

充電:100W SUPERVOOC対応

OnePlus 12はOPPO(OnePlus)の充電規格”100W超级闪充”もとい、有線100W出力に対応する”100W SUPERVOOC”と、ワイヤレス50W出力に対応する”50W AIRVOOC”での充電が可能です。

100W SUPERVOOC対応のACアダプターが標準で付属していますが、100-130Vの地域では最大80W(11V7.3A)のSUPERVOOCまでしか出力できません。まぁ…正直、80WのSUPERVOOCでも過剰スペックです。

OnePlus 12付属のACアダプターは、SUPERVOOC以外にレガシーな規格のApple 2.4AやBC1.2 DCP、QC3.0に加え、中華メーカー間の統一規格”UFCS(融合快充)”で最大33W出力が可能です。

100-240V地域で100W出力が可能な「一加 SUPERVOOC 100W 双口超级闪充充电器」を持っているので、”奴”でOnePlus 12を充電してみると、問題無く100W SUPERVOOCが出力されていました。

いつも通り、AVHzY C3(YK-003C)とSHZUKU TOOLBOXで簡易計測してみると、最大で60W前後が出力されており、バッテリー残量5%から95%まで充電した場合、所要時間は約21分でした。

デュアルセル構成とはいえ、大容量な5400mAhを30分掛からず回復できるのはとても快適です。

AVHzY C3+SHZUKU TOOLBOXで充電時間の簡易計測(5%→95%)
SUPERVOOC 100W
(所要時間:21分34秒)
最大電圧:9.2863V
最大電流:6.8087A
最大出力:60.5273W

5→95%が約17分で済む”Xiaomi Hyper Charge 120W”に少しだけ劣るものの、”SUPERVOOC 100W”も十二分に高速です。それは置いておいて…バッテリー残量が1%前後からスタートすると、ピーク時で70W前後出るらしいですが…額面通り100Wが出るかどうかは微妙です。

なので…日本だと付属のACアダプターが80Wまででも特に気にする必要も無ければ、物好き以外は態々100W対応のACアダプターを買い足す必要もあまり無いです。(が…”奴”はPD対応等使い勝手が良いので実はry)

汎用的なUSB PDだとPPS非対応、ネゴシエーションは9V3A(Fixed)ですが…出力されるのは18Wまでです。QCも18W止まりで、33~100Wまで対応しているSUPERVOOCとは雲泥の差です…。

OnePlus 12は親戚のRealme GT5 Pro同様に、UFCS(融合快充)での充電も可能かつ33W対応らしいので…近年の水準では遅い存在のPDやQCの18Wより、UFCSの方がマシという個人的には悲しい状態です。

オーディオ

サウンド効果

OnePlus 12はDolby Atmosに対応しています。スピーカーではOFFにできません。

Dolby Atmosとは排他利用ながら、立体音響やHolo Audioも有効化できます。立体音響を有効にするとDolby Atmosとはまた違った広がりのある音になります。

ハードウェア

独自エンジン採用の音楽プレイヤー「Neutron Music Player」と、USB Type-C to 3.5mm変換アダプター(アナログ式)を使ってOnePlus 12の再生可能な周波数を確認します。

デフォルト設定では、Speaker・Line-out出力どちらも48000Hz(16bit)固定でした。

OnePlus 12:再生可能周波数(デフォルト設定)
周波数Speaker:48000Hz
Line-out:48000Hz
アナログ出力可能(DAC非搭載の変換アダプターもOK)

ドライバー設定からHi-Res系の出力を許可すると、Speaker・Line-out出力どちらも44100~192000Hzまで選択可能になります。

ネイティブ192KHz(24bit)のWav音源を再生し、”なんちゃってハイレゾ対応”では無いことを確認するとゲイン80以上の状態でも、ノイズや出力低下は発生せずにしっかり再生できていました。

OnePlus 12:再生可能周波数(Hi-Res Audio)
周波数Speaker:44100~192000Hz
Line-out:44100~192000Hz

スピーカーのアンプには”tfa98xx”を採用しています。

ステレオスピーカーの音質はLegion Y700 2023(タブレット)には劣るものの、スマホにしては比較的良い方です。

通話兼用で左右非対称ながら、Dolby Atmosや立体音響エフェクトである程度音の広がりがカバーされており、低域もしっかり出てます。音量(出力)も大きいため迫力もそれなりです。

ツィーター/ウーファー×2のクアッド構成で”音だけは”実績のあるPOCO F4 GTより、OnePlus 12の方が低域の量感は上、繊細さや音混ざりの少なさはF4 GT…と言った印象でどちらも優秀です。

(BGM:memento)
音質端末・オーディオエフェクト
とても良いLegion Y700 2023/Dolby Atmos

OnePlus 12/Dolby Atmos
POCO F4 GT(K50G)/Dolby Atmos
良いGoogle Pixel 8 Pro/non
Xiaomi Mi 11i(K40 Pro+)/Dolby Atmos
POCO F3(K40)/Dolby Atmos
Redmi K60 Pro/Dolby Atmos
realme x2 Pro/Dolby Atmos
普通OnePlus Nord 3 5G/Dolby Atmos
Google Pixel 6/non
Redmi K60 Ultra/Dolby Atmos
LG V60 ThinQ 5G/DTS:X&LG 3D Sound
Google Pixel 3/non
ZTE Axon 10 Pro 5G/DTS:X Ultra
悪いRedmi Note 12 Turbo(F5)/Dolby Atmos

Bluetoothコーデック

OnePlus 12側がサポートしているBluetoothコーデックを確認すると、LHDC/LDAC/apt X(Adapteive/HD)/AAC/SBCに対応していました。

LHDCはOPPO系列ブランド内での囲い込み(利用制限)があります。

Snapdragon 8 Gen 3の概要(スペック・仕様)

いつも通りベンチマークの前に採用したSoCの概要を簡単に解説します。不要ならベンチマークまでスキップして下さい。(←リンクタップで移動できます)

比較には先代かつ外せないSnapdragon 8 Gen 2とSnapdragon 8+ Gen 1(3.2GHz版)を入れました。

ポジション的には、Samsung製のSnapdragon 8 Gen 1が適任ですが…総合的にTSMC製の8+ Gen 1の方が8系の正統後継者で、8 Gen 1は失敗作・黒歴史なのでハブりました。(今までの解説に入れたし…)

SoCスペック・比較/構成解説表
SoCSnapdragon 8 Gen 3Snapdragon 8 Gen 2Snapdragon 8+ Gen 1
プロセス
ノード
TSMC 4nm(N4P)TSMC 4nm(N4)TSMC 4nm(N4)
CPU8C8T(1+5+2構成)8C8T(1+4+3構成)8C8T(1+3+4構成)
X4×1:3.3GHz
A720×3:3.15GHz
A720×2:2.96GHz
A520×2:2.27GHz
X3×1:3.2GHz
A715×2:2.8GHz
A710×2:2.8GHz
A510(v2)×3:2GHz
X2×1:3.2GHz
A710×3:2.75GHz
A510×4:2GHz
L3
キャッシュ
12MB(SLC:?)8MB(SLC:6MB)6MB(SLC:4MB)
GPUAdreno 750:903MHz
ALUs:1792
Adreno 740:680MHz
ALUs:1536
Adreno 730:900MHz
ALUs:1024
NPU
(DSP)
HexagonHexagonHexagon(7th Gen)
ISPSpectra Cognitive
(Triple 18bit)
Spectra Cognitive
(Triple 18bit)
Spectra
(Triple 18bit)
メモリLPDDR5X
(4800MHz)
LPDDR5X
(4200MHz)
LPDDR5
(3200MHz)
ストレージUFS 4.0UFS 4.0UFS 3.1
通信モデムSnapdragon X75 5GSnapdragon X70 5GSnapdragon X65 5G
接続規格Wi-Fi 7
Bluetooth 5.4
Wi-Fi 7
Bluetooth 5.3
Wi-Fi 6/6E
Bluetooth 5.3
内部コードSM8650-ABSM8550-ABSM8475(P?)
(参考元:PC Watch/ReaMEIZU=サン/Geekerwan=サン)

Snapdragon 8 Gen 3は2023/10/25に発表された、Snapdragon 8 Gen 2の後継SoCです。同時に”Snapdragon ◯ Gen.x”命名規則で3代目かつ、Kryo CPU採用の8系(無印で)最後のSoCです。

引き続きファウンドリーはTSMC、プロセスノードにはSnapdragon 8 Gen 2までのN4から、Dimensity 9200+等と同じように第2世代と言われているN4Pを採用しています。

CPUは最新のArm v9.2(64bitのみ)で構成され、プライマリコアにCortex-X4(3.3GHz)を1基、高性能コアにA720を3.15GHzで3基、2.96GHzで2基、高効率コアにA520(2.27GHz)を2基採用した1+5+2構成の8コアです。

Snapdragon 8 Gen 2で採用した高効率コアを高性能コアに置き換えて、プロセスノードやCPU IP更新での改善だけでなく、コア構成それ自体でマルチコア性能と電力効率の改善を図る設計の発展型です。

GPUはAdreno 700シリーズ”Adreno 750(903MHz)”を搭載し、Adreno 740からALUsや動作クロックが向上、レイトレーシング強化やグローバル・イルミネーションにも対応する他、1~240Hzの可変リフレッシュレートもサポート。

メモリはLPDDR5X(4800MHz)、ストレージは引き続きUFS 4.0をサポート。

NPUはSnapdragon 8 Gen 2のHexagon(DSP→NPUへ名称変更)から、98%の性能向上と40%の電力効率改善を謳う、新Hexagon NPUを搭載し生成含めAIへの対応をさらに強化。

IPSはSnapdragon 8 Gen 2と同じく3つの18bit Spectra ISPと、Hexagon Direct Link技術(ISP⇔NPU直結内部バス)等は共通ながらレイヤー数が”8→12”へ強化され、”Photo Expansion”や”Video Object Eraser”も利用可能。

CPU・GPU・NPU・ISPが全て強化され、プロセスノードもN4比で6%向上のN4Pを採用…。Snapdragon 8 Gen 3はどこを見ても、Snapdragon 8 Gen 2の後継として相応しい強化内容になってます。

ベンチマークテスト

ここからはベンチマークの時間です。比較にはSnapdragon 870~8 Gen 2までの8系、Dimensity 9000と9200+の端末を用いた、OnePlus 12含め計8台でテスト。

(りとらいん史上)最高の内容を目指します。

テスト/比較端末・環境構成
【OnePlus 12】
・OS:Android 14(OxygenOS 14.0:CPH2581_14.0.0.404 EX01)
・SoC:Snapdragon 8 Gen 3
・メモリ:12GB(LPDDR5X)
・ストレージ:256GB(UFS 4.0)
・動作:高パフォーマンスモード(OxygenOS)
【Redmi K60 Pro】
・OS:Android 14(Xiaomi HyperOS:1.0.5.0UMKCNXM)
・SoC:Snapdragon 8 Gen 2
・メモリ:8GB(LPDDR5X)
・ストレージ:256GB(UFS 4.0)
・動作:パフォーマンスモード(HyperOS)
【Legion Y700 2023(≒NEC LAVIE Tab T9)】
・OS:Android 13(ZUI 15:15.0.737)
・SoC:Snapdragon 8+ Gen 1
・メモリ:12GB(LPDDR5X)
・ストレージ:256GB(UFS 3.1)
・動作:パフォーマンス(ゲームアシスタント)
【POCO F4 GT(≒Redmi K50G)】
・OS:Android 14(Xiaomi HyperOS:1.0.1.0.ULJMIXM)
・SoC:Snapdragon 8 Gen 1
・メモリ:8GB(LPDDR5)
・ストレージ:128GB(UFS 3.1)
・動作:パフォーマンスモード(HyperOS)
【Xiaomi Mi 11i(≒Redmi K40 Pro+)】
・OS:Android 13(crDroid 9.10:TQ3A230901.001)
・SoC:Snapdragon 888
・メモリ:8GB(LPDDR5)
・ストレージ:128GB(UFS 3.1)
・動作:パフォーマンス優先(crDroid)
【POCO F3(≒Redmi K40)】
・OS:Android 13(Pixel Experience:TQ3A.230705.001.B4)
・SoC:Snapdragon 870
・メモリ:6GB(LPDDR5)
・ストレージ:128GB(UFS 3.1)
・動作:モード指定無し
【Redmi K60 Ultra(≒Xiaomi 13T Pro)】
・OS:Android 14(Xiaomi HyperOS:1.0.5.0UMKCNXM)
・SoC:Dimensity 9200+
・メモリ:12GB(LPDDR5X)
・ストレージ:256GB(UFS 4.0)
・動作:パフォーマンスモード(HyperOS)
【OnePlus Nord 3 5G(≒OnePlus Ace 2V)】
・OS:Android 14(OxygenOS 14.0:CPH2493_14.0.0.300 EX01)
・SoC:Dimensity 9000
・メモリ:16GB(LPDDR5X)
・ストレージ:256GB(UFS 3.1)
・動作:高パフォーマンスモード(OxygenOS)
備考・root権限:全端末でMagisk導入済み
・ディスプレイ駆動:120Hz固定(K60 Ultra/144Hz)
・ディスプレイ輝度:各端末での50%固定
・通信環境:Wi-Fi 5(5GHz接続)&機内モード
・室温:17℃
【ベンチマーク内容と測定ツールについて】(タップで開く・閉じる)

基本は、前回の”Legion Y700 2023”ベンチマーク内容と同じです。

ただ…AI性能テストのMLPerf Mobileが、v3.1だとSnapdragon 8 Gen 3に未対応のため、代替として以前1度だけ登場したAI Benchmarkを仮で採用。念の為パッケージリネーム済みです。

ミドルハイ・ハイエンド端末:ベンチマーク内容
ベンチマークLegion Y700 2023以降
CPU性能Geekbench 6(自前のリネーム版)
GPU性能3DMark Wild Life Extreme
(自前のリネーム版)
一般的なタスク
普段使い性能
計測中止
(SD865以上で劇的な差は無いため)
ストレージ
メモリ性能
CPDT Benchmark
AI性能(変更有)MLPerf Mobile(v3.1)AI Benchmark
(自前のリネーム版)
簡易AIテストRealSR-NCNN-Android
ストレステストCPU Throttling Test
(自前のリネーム版)
Wild Life Extreme Stress Test
(自前のリネーム版)
ゲーム性能勝利の女神:NIKKE
迎撃戦:特殊個体:モダニア
原神
スメールシティ/夜蘭C1ランニングテスト/30分間
崩壊:スターレイル
ピノコニー(黄金の刻)/30分間

消費電力などの測定にはいつも通り、Scene 7(TOOLBOX-SCENE)を利用。所謂”ベンチマークブースト”への対策に、ApkRenamerでアプリパッケージ名をリネームしたものを採用しています。

Geekbench

CPU性能を計測するベンチマーク”Geekbench 6”の結果です。パッケージリネーム版でも大幅なスコア低下は無いため、パッケージ名で判定して制御を変えるブースト行為はしていないと思います。

Geekbench 6
通常版(6.2.2)パッケージリネーム版(6.2.0)
計測結果
OnePlus 12
(Snapdragon 8 Gen 3)
シングルコアスコア:2226
マルチコアスコア:6775
最大消費電力:11.88W

Snapdragon 8 Gen 3を含めた、各SoCのシングル・マルチコア性能を比較すると下のグラフのようになります。

先代のSnapdragon 8 Gen 2比で約22%マルチ性能が向上。Snapdragon 8+ Gen 1やDimensity 9000比でも約40~52%近く向上し、Snapdragon 870(≒865)にはダブルスコア差をつけて圧倒。

シングル性能もCortex-X4(3.3GHz)を有するため、2200超えでトップに君臨します。

まぁ…ベンチマークスコアが高くても、それがSnapdragon 8 Gen 1やTensor G3のように消費電力を犠牲にしたものであるなら無意味です。消費電力は基本的に熱に変換されるし、電池を喰います。

ベンチマークで高スコアを出してドヤりたいだけなら、格安Dual XeonとかでPCでも組んでAndroid-x86とか入れれば良いと思います。ロジック半導体(特にSoC)で重要なのは電力効率です。

最大スコア÷5/×4/+各SoC最小周波数の5点でマルチスコア・消費電力を測定し、簡単な電力効率の曲線を作成して各SoCのワットパフォーマンスを確認します。

(電力効率曲線の場合、カーブと測定点が左上に近いほど良く、右下に近いほど悪いです)

Snapdragon 8 Gen 3のピーク消費電力は8 Gen 1(12.02W)に迫る値ですが、発揮される性能が3986→6775(約70%差)なので電力あたりの性能は桁違いに改善しており、ピーク時だけなので問題では無いです。

ピーク時以外の部分でも、Snapdragon 8 Gen 2の最大性能(5552/11.56W)と同等性能(5537)を8 Gen 3は9.54Wで発揮した他、8 Gen 1の最大性能(3986/12W)以上の値(4137)を、8 Gen 3は半分以下の5.06Wで発揮。

低から高クロック全てで、性能と電力効率に優れた先代の名SoC”Snapdragon 8 Gen 2”を上回り、Snapdragon 8 Gen 3は紛れもなく後継に相応しい性能と電力効率を有しています。

【最大スコア÷最大消費電力でのグラフ】(タップで開く・閉じる)

電力効率曲線がマニアック or 前の方が良いという声が0ではないので、一応…前(K60 Ultraの記事)まで使っていた”スコア÷消費電力”でのワットパフォーマンスも載せておきます。8~9割くらいは合ってます。

スコアグラフ
消費電力
ワットパフォーマンス(マルチスコア÷最大消費電力)
(マニアックだから一般ウケが悪いのではあ”り”ま”せ”ん。一般ウケが悪いことの大体はマニアックなのです)

3DMark

GPU性能を計測するベンチマーク”3DMark Wild Life Extreme”で、OnePlus 12(Snapdragon 8 Gen 3)はスコア5092でした。

3DMark Wild Life Extreme(パッケージリネーム版)
計測結果
OnePlus 12
(Snapdragon 8 Gen 3)
Overall score:5092
最大消費電力:12.03W

Snapdragon 8 Gen 3(Adreno 750)を含めた、各SoCのGPU性能を比較すると下のグラフのようになります。Adreno 750(903MHz)の性能は、Android向けSoCのGPUで”圧倒的”。それ以上でも以下でもないです。

(単発とはいえ)Wild Life Extremeの性能だけで言えば、Snapdragon 8 Gen 3はApple M1やRyzen 7 7840U(Radeon 780M)と同等以上、Ryzen 5 8600G(760M)やGTX 1630を上回るGPU性能です。

Legion Y700 2023の記事で3点測定としていた電力効率曲線は、せっかく各SoCのGPU電力効率を残せる機会なのに3点だと勿体ないし、妥協した感が拭えないので作り直しました。

具体的な変更点はスコア・消費電力が被ったGPUクロックを省き、それ以外は基本的に各GPUの周波数テーブル全てのクロック、Dimensityは間隔を刻み過ぎているので最大値から50MHzずつ落として測定。

内容を見直して作り直した、新しいGPU電力効率曲線です。

Snapdragon 8 Gen 3(Adreno 750)はGPUの電力効率も圧倒的で、Dimensity 9200+(Immortalis-G715)やSnapdragon 8 Gen 2(Adreno 740)すら寄せ付けません。

同時に電力効率曲線の結果から、Adreno 750がAdreno 740のオーバークロック版という噂も否定できます。

Snapdragon 8 Gen 2(Adreno 740)のピークスコア・消費電力はそれぞれ、3755/8.93Wで動作クロックは680MHzです。対して、8 Gen 3(Adreno 750)の680MHzではそれぞれ、4134/7.67Wで性能が上昇しつつ消費電力は減少しています。

Adreno 750で同等性能を目指すと、629MHz時の3720/6.23Wが最もAdreno 740に近いです。ALUs1536→1792に増加している点を含めてただのOC版では無いですし、その場合の曲線はDimensity 9200+が”ほぼ”それです。

【最大スコア÷最大消費電力でのグラフ】(タップで開く・閉じる)

Geekbench同様にWild Life Extremeも載せておきます。ピーク時のみの比較だと電力効率曲線のように深くは見れないです。

スコアグラフ
消費電力
ワットパフォーマンス(マルチスコア÷最大消費電力)

CPDT Benchmark

ストレージベンチマーク、”CPDT Benchmark”でストレージ・メモリ性能をテストします。テストのファイルサイズは1GB、BufferingやCacheはOFFの標準設定です。

CPDT Benchmark
計測結果
OnePlus 12
(UFS 4.0/LPDDR5X)
Sequential write:1.00GB/s
Sequential read:2.69GB/s
Random write:39.19MB/s
Random read:28.96MB/s
Memory copy:21.30GB/s

OnePlus 12(UFS 4.0)のストレージ性能は、シーケンシャルライトは1.00GB/sでUFS 4.0として標準的、シーケンシャルリードは2.69GB/sでUFS 3.0~4.0の中でもトップクラスの速度です。

ランダムライトは39.19MB/sでそれなりに速く、ランダムリードは28.96MB/sでまずまずと言った感じです。

メモリコピー速度はSnapdragon 8 Gen 3がLPDDR5X(4800MHz)対応なのも相まって、21.30GB/sでOnePlus 12がトップを更新。LPDDR5(2750MHz)までのSnapdragon 870(POCO F3)とは2倍差です。

AI Benchmark

上記の通り、MLPerf MobileがSnapdragon 8 Gen 3に未対応なので…試験的・代替として、AI Benchmark V5でAI性能をテストします。

AI Benchmark V5(パッケージリネーム版)
計測結果
OnePlus 12
(Snapdragon 8 Gen 3)
Device AI Score:3167
(Die Hard!)

AI Benchmark V5での結果は3167で、Snapdragon 8 Gen 3が8 Gen 2を超えてトップです。

RealSR-NCNN-Android

機械学習性能を計るベンチマーク結果だけ見ても、差があるのは分かりますが…大体「?」状態です。いつも通り簡単なAI性能テストとして、機械学習(AI)を用いた画像のアップスケーリングをテストします。

Real-ESRGANベースの”RealSR-NCNN-Android-GUI”で、1080×1920(FHD)の画像1枚をモデル”real-esrganv3-anime”でGPUを使って処理させ、アップスケーリング後にResultで確認可能な合計処理時間(秒)で比較。

RealSR-NCNN-Android:アップスケーリングテスト
計測結果
OnePlus 12
(Snapdragon 8 Gen 3)
real-esrganv3-anime-x2(GPU):7.91秒
real-esrganv3-anime-x4(GPU):18.92秒

1080×1920(FHD)の画像をGPUで処理して2倍の2160×3840(4K)、4倍の4320×7680(8K)にアップスケーリングした場合、Snapdragon 8 Gen 2からほんの僅かに処理時間が減少し、8 Gen 3がトップを更新。

4Kへのアップスケーリングは8秒未満、8Kでも19秒未満で完了し、トップクラスの性能ではあるものの…RealSR-NCNN-AndroidだとSnapdragon 8 Gen 3と8 Gen 2の差は正直、誤差レベルです…。

スマホやタブレットで画像をアップスケーリングする需要がどこまであるか不明で、1080×1920(FHD)から4倍(8K)の時点でスマホやタブレットの想定利用範囲から超えるので、8K以上は追加しないつもりです。

まずは発熱による、性能低下時のCPU性能等を計測できるストレステスト”CPU Throttling Test”を、最大負荷の100スレッドで20分間実行してCPU側の安定性を確認します。

CPU Throttling Test (パッケージリネーム版)
計測結果
OnePlus 12
(Snapdragon 8 Gen 3)
CPU Throttling:67%
最大バッテリー温度:35℃

OnePlus 12(Snapdragon 8 Gen 3)のCPU Throttling Testでの安定性は67%で微妙な結果です。

Snapdragon 8 Gen 3が…というより”欧加”もとい、OnePlus(OPPO系)は発熱するのが嫌なのか、早い段階でサーマルスロットリングを掛ける傾向・調整なので…。冷却に力を入れてる割に気弱な気もしますが…

20分後のOnePlus 12のバッテリー温度は35℃で、タブレットで放熱面積が非常に大きいLegion Y700 2023(34.7℃)の次点で低い温度です。

続けて、20ループのGPU負荷テスト”3DMark Wild Life Extreme Stress Test”でGPU側の安定性を確認します。

3DMark Wild Life Extreme Stress Test(パッケージリネーム版)
計測結果
OnePlus 12
(Snapdragon 8 Gen 3)
Best loop score:5111
Lowest loop score:2836
Stability:55.5%
最大バッテリー温度:39℃

OnePlus 12(Snapdragon 8 Gen 3)は最大スコア5111、最低スコア2836で安定性は55.5%でした。

CPU同様にGPUもサーマルスロットリングが強めな傾向は変わらず、20ループ後はRedmi K60 Pro(8 Gen 2)以下、辛うじてLegion Y700 2023(8+ Gen 1)を上回る程度です…。その代わり温度上昇は低めです。

OnePlus 12(Snapdragon 8 Gen 3)の全力が見たいなら、「スマホクーラーでも付けてくれよな!」ってことでしょうか。

航空宇宙グレードの熱伝導性ゲルとグラファイトに加え、9140mm²を誇る” Dual Cryo-velocity VC”で冷却性能をアピールしていたのに、どうして…どうして…。

まぁ…何れにせよ、どちらのストレステストも使用率が99(100)%に張り付いた状態、非現実的な使用下での安定性や持続力を見れるだけなので「酷使したらこんなもんかな」程度のテスト結果です。

それぞれのストレステストでの結果「それ以上でも以下でもない」ため、参考材料としては有効ですが…実際の他アプリやゲームでの安定性や動作を保証する訳ではありません。

ゲーム性能

勝利の女神:NIKKE

フレームレートによってDPSに差が生じ、フレームレートの安定性が重要な「勝利の女神:NIKKE(メガニケ)」での性能をテスト。テストに採用した中では動作負荷が軽めなタイトルです。

コアさえ破壊すれば胴体を撃つだけで良く、最もランダム要素を排除して動作を揃えやすいため、迎撃戦(特殊個体:モダニア)でテストしています。動作検証なのでモダニアは普通にバースト(残滅モード化)させます。

あと、戦闘狂の指揮官以外はクイック戦闘で消化すると思うので計測は1回です。逆に1回目の時点で平均50fpsを越えない場合、ストーリーの攻略や日課の消化にすら使い物にならないという目安にもなります。

メガニケ:迎撃戦(特殊個体:モダニア)
テストタイトルの動作目安、性能の影響について
影響:CPU側+SoCの最適化
(個人的)推奨:Snapdragon 8 Gen 1以上
平均フレームレート:50fps以上
最低フレームレート(1%):45fps以上
計測結果
OnePlus 12
(Snapdragon 8 Gen 3)
平均フレームレート:50.5fps
最低フレームレート(1%):36.4fps
平均消費電力:3.85W
最大バッテリー温度:20℃

迎撃戦(特殊個体:モダニア)でのフレームレートは平均50.5fps、最低(1%)で36.4fpsでした。

メガニケは最適化をサボり気味のタイトルで、Snapdragon 8 Gen 2と同格のDimensity 9200+が8 Gen 1や888に劣る、870とD9000が近い等があり…恐らく8 Gen 3はまだ完全には最適化されてません。

2024年のSoC基準だと、動作負荷の軽いタイトルかつ”良”電力効率を体現したSnapdragon 8 Gen 3なのも相まって、OnePlus 12の消費電力は平均3.85W、バッテリー温度は最大20℃でした。

OnePlus 12のSnapdragon 8 Gen 3は、OnePlus 11やFind X6 ProのSnapdragon 8 Gen 2と同様にGovernorが通常のwaltと異なる、独自の”uag Governor”を採用していて”欧加の調整”が入っています。

少なからずGovernorが異なる影響もあると思ったので、Scene 7(root)でuag Governorから通常の”walt Governor”に変更した場合も計測しました。(グラフへの採用は無し)

Snapdragon 8 Gen 3(walt)だと50.5fps→54.3fpsに若干改善しました。どちらにしてもメガニケで最適化不足な感じは否めないです。

将来的にはSnapdragon 8 Gen 2等と同等になると思いますが、8 Gen 3を無理に選択しなくても8 Gen 2等でも別に良いです。

原神(Genshin Impact)

Snapdragon 855+メモリ6GBクラスに推奨スペックが引き上げられた「原神(Genshin Impact)」での性能をテスト。現在の水準だと原神はやや重め程度のタイトルです。

mihoyoがリリースしたゲームタイトルは、デバイスごとにレンダリングする解像度を変える法則性があるので、先にOnePlus 12のレンダリング解像度を、いつも通りCR²FSで簡易的に調べます。

原神:レンダリング解像度《渲染分辨率》※参考程度
OnePlus 12
実行解像度:1920×873CR²FSでのジャギー段数:18段(レンダリング精度:高)
推定レンダリング解像度:720p(Android標準)

OnePlus 12のCR²FS段数は18で、推定レンダリング解像度はAndroid標準の720pです。

原神のテストは引き続き、スメールシティを夜蘭の元素スキルでランニングし続ける”スメールシティ/夜蘭C1ランニング”を採用。夜蘭(C1)で約4分間のルートを最高画質+60fps設定で30分間走行して計測します。

【ランニングテストとルートについて】(タップで開く・閉じる)

原神関係の情報や評価が盛んな中華圏でも性能試験として用いられている、重いスメールシティを夜蘭の元素スキルでランニングし続けるテストです。

中華圏のコースを参考にしつつ、ベンチマーク的な検証用に周回ルートを組み換えて1周辺り、(夜蘭C1の場合)約4分のコースを作成。このコースをひたすら各端末でランニングして動作検証。

  1. チャトラカム洞窟側のワープポイントからスタートして、合成台、鍛冶屋を通過し冒険者協会へ
  2. そのままヤザダハ池、また冒険者協会へ戻って、グランドバザールへ直行、ズバイルシアターの階段で反転して来た道に戻り
  3. レグザー庁の左側にある階段から教令院、内部右側の出入り口からラザンガーデンを通ってスラサタンナ聖処まで昇り
  4. スラサタンナ聖処から来た道を戻り、教令院、螺旋階段を通過して道なりに進み、チャトラカム洞窟側のワープポイントへ戻る

戦闘を挟まないとはいえ、夜蘭を筆頭に移動系の元素スキルを繰り返す行動は、瞬間的なフレームドロップ(ジャンク・スタッター)が生じやすく、下手な精鋭やその辺のヒルチャールの群れを相手にするより重いです。

エネミーの行動パターンやローテーションといったランダム性を排除した、純粋なマシンパワーの測定です。無駄に大量のNPCが配置され、地形も複雑なためCPUボトルネックの差も大きくなります。

原神:スメールシティ/夜蘭C1ランニングテスト/30分間
テストタイトルの動作目安、性能の影響について
影響:CPUボトルネック
(個人的)推奨:Snapdragon 7+ Gen 2以上
平均フレームレート:50fps以上
最低フレームレート(1%):35fps以上
計測結果
OnePlus 12
(Snapdragon 8 Gen 3)
平均フレームレート:59fps
最低フレームレート(1%):54fps
平均消費電力:4.92W
最大バッテリー温度:30.3℃

スメールシティ(夜蘭C1ランニングテスト)でのフレームレートは平均59fps、最低(1%)で54fpsでした。

Snapdragon 8 Gen 2と同等クラスで、OnePlus 12はAndroid端末として高水準かつ快適に動作します。OnePlusの原神への徹底した最適化も少し影響していると思いますが…。

ただ…864p以下の原神で重要なのはGPUではなく、CPUがボトルネックにならないことなので、Snapdragon 8 Gen 2やDimensity 9200+、Snapdragon 7+ Gen 3で性能的には十分です。

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Snapdragon 8 Gen 3の真髄は消費電力の少なさであり、OnePlus 12の消費電力は平均たったの4.92Wで5W未満に収まります。結果的に発熱も少なくなるため、バッテリー温度も30.3℃までしか上昇しませんでした。

OnePlus 12(Snapdragon 8 Gen 3)なら従来までと違い、原神(720p)のプレイ中に発熱抑制でスマホクーラーの用意や途中でバッテリー切れを心配する必要は皆無です。1~2時間程度はぶっ続けても問題ありません。

崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)

Snapdragon 855・Dimensity 1000+メモリ6GBクラスが推奨スペックながら、同水準な原神よりも圧倒的に重たい「崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)」での性能をテスト。

原神と同様、スターレイルもデバイスごとにレンダリングする解像度を変える法則性があるので、先にOnePlus 12の実行解像度とレンダリングピクセル数を中華圏の方式(ゲーム内の撮影機能)で調べます。

崩壊:スターレイル:レンダリングピクセル数《渲染像素数》※参考程度
OnePlus 12
実行解像度:1680×763総レンダリングピクセル数:約128.1万
参考・基本値(1680×756)
・Redmi Note 12 Turbo
・Xiaomi 13 Pro
・OPPO Find X6 Pro…等
総レンダリングピクセル数:約127万

OnePlus 12の実行解像度は最高画質で1680×763、総レンダリングピクセル数は約128.1万です。基本値の756pより僅かに渲染像素数が多いです。

スターレイルのテストはトップクラスのGPU負荷を誇る、ピノコニー(黄金の刻)をグラフィック(最高)+60fps設定で、一定のルートを時計回りに30分間歩き回り計測します。

Adreno 740(680MHz時)すら50fps程度が限界で、誇張抜きで非常にGPU負荷が掛かります
崩壊:スターレイル:ピノコニー(黄金の刻)/30分間
テストタイトルの動作目安、性能の影響について
影響:GPUボトルネック
(個人的)推奨:Snapdragon 8+ Gen 1以上
平均フレームレート:45fps以上
最低フレームレート(1%):30fps以上
計測結果
OnePlus 12
(Snapdragon 8 Gen 3)
平均フレームレート:52.6fps
最低フレームレート(1%):45fps
平均消費電力:7.54W
最大バッテリー温度:41.2℃

ピノコニー(黄金の刻)でのフレームレートは平均52.6fps、最低(1%)で45fpsを記録し、原神等のSnapdragon 8 Gen 2クラスで十分なタイトルと違って、しっかりと後継モデルとしての性能差を見せつけました。

黄金の刻で最低フレームレート(1%)が40fpsを超えたのは、Snapdragon 8 Gen 3(OnePlus 12)だけです。この時点で十分凄いですが、8 Gen 3でも黄金の刻で平均55fps以上を狙うのは一筋縄では行かないみたいです…。

(あくまでテストであって、黄金の刻で平均45fps以上ならスターレイルは殆ど快適に遊べます)

OnePlus 12では”高パフォーマンスモード”でも、崩壊:スターレイルのプレイ中はSnapdragon 8 Gen 3(Adreno 750)が578MHzまでに制限されており、急激に温度が上昇する or バッテリー温度40℃近辺に到達すると50fps程度にロックされます。(一加12としての計測でも似たような結果っぽいです)

恐らくフレームレートと発熱・消費電力のバランスを考えて、Snapdragon 8 Gen 3(Adreno 750)を8 Gen 2の最大性能に近い、Adreno 750(578MHz)で抑えた(調整した)のだと思います。ぶん回すと大変ですから…。

崩壊:スターレイルはGPUを酷使するうえ、CPUもそれなり使うので基本的に消費電力が多く、温度も高くなりやすいのですが、上記の調整とSnapdragon 8 Gen 3の電力効率もあってか、動作中の消費電力は平均7.54W、バッテリー温度は最大41.2℃で収まっています。

平均52.6fpで消費電力は7.54Wのため、1フレーム辺りの消費電力は143.3mW…。150mWを下回る驚異的なワットパフォーマンスです。Snapdragon 8 Gen 2やDimensity 9200+辺りは180~190mW前後が限界でした。

OnePlus 12はビジュアルプロセッサー(外部処理装置)として、Pixelworks X7(PX8768)を搭載しており、ゲームプレイ時に120fpsへのフレーム補間やアップスケーリング機能を使えます。

フレーム補間等が可能な中国版の端末が、グローバル版としてリリースされると大体はプロセッサーごと去勢されるか封印されたりして、機能が使えなくなるのが通例でしたが…OnePlus 12では10周年の集大成故なのかOnePlus 12R(Ace 3)と違い、去勢されずにOxygenOS/ColorOSどちらも機能を使えます。

フレーム補間の”アダプティブフレームブースター”とアップスケーリングの”Hyper Resolution”は、ゲームアプリとして登録してあれば”ほぼ”全てのアプリを1タップで有効化可能という破格っぷりです。

アップスケーリングには制限が無いものの、フレーム補間は60fps以上で動作するアプリでの疑似120fps(60×2)動作になるため、30fps等で動作するアプリでは通常だと補間されません。

原神等の最適化されたタイトルでは疑似120fps(40×3)動作になり、60fpsより負荷が軽減されつつネイティブ60fpsよりも滑らかな動作になります。また”Hyper HDR”も一部タイトルでは利用できます。

まとめ

良い悪い
・充実した付属品(OnePlusスターターセット)
・指紋が付きにくい上質なマット加工の背面ガラス
・高級時計のような加工&シンプルなデザイン
・帰ってきたUSB 3.x Gen 1&映像出力対応のType-Cポート
・扱いやすいOxygenOS 14.0&VoLTE対応
・非常に高品質で明るい6.82インチの”X1 Oriental Screen”
・3168×1440(QHD+)&1~120Hz(LTPO)対応
・100W SUPERVOOC対応&大容量な5400mAhバッテリー
・Dolby Atmosや立体音響対応のステレオスピーカー
・圧倒的な電力効率と性能を誇る”Snapdragon 8 Gen 3”
・巨大で9140mm²を誇る” Dual Cryo-velocity VC”搭載
・120fpsへのフレーム補間やアップスケーリング対応
・Hasselblad監修・LYT-808やOV64Bの3倍望遠カメラ採用
・ブートローダーアンロック可能
・220gを超える重量
・汎用的なUSB PDやQCでは18Wまで
・(良くも悪くも)サーマルスロットリング強め

正直…Snapdragon 8 Gen 2から、1世代でここまで伸ばして来るとは思わなかったので、Snapdragon 8 Gen 3には良い意味で予想を裏切られました。抑えられていなければ過剰な性能を秘めていますし…。

相応の負荷が掛からないと性能的には、Snapdragon 8 Gen 2やDimensity 9200+辺りから体感差を感じることは無いですが、より少ない消費電力で同等以上のパワーを持っているので、普段使い・ゲーム問わずバッテリー持ちの良さが全然違います。

SoC以外もOnePlus 12はBOE X1のディスプレイやHasselblad監修のカメラ、Pixelworks X7等のハイエンドらしい構成で、特にディスプレイや殆どのアプリでフレーム補間・アップスケーリング可能な点を気に入っています。

Tensor G3があそこまで酷くなければ…本来はPixel 6から乗り換え予定だったPixel 8 Pro同様、OnePlus 12には私の欲しいものがほぼ備わっているので、新しいメイン端末として長く活躍してもらおうと思います。

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