原神(スマホ版)の画質設定についてざっくり解説しつつ、動作に必要なスペックや実機でどのくらいフレームレートが出るのか検証します。
尚、凡人が身の程を弁えずに付け焼き刃の知識で書いた記事なのであくまで参考程度に。
設定・オプション
原神(スマホ版)の画質などの描画に関わる設定は、メニューからオプションを開き”画面”からグラフィックのプリセットを選択できる他、カスタム設定で目的に合わせて調整が可能です。

グラフィック
画質


プリセット | 内容 |
最低 | カスタム項目がほぼ全て最低 or 低設定 |
低 | シャドウ品質のみ中、それ以外は低設定 |
中 | SFX品質/モーションブラーは低、それ以外は中設定 推奨スペックと同等以上に判定された場合、デフォルトの設定 |
高 | レンダリング精度/シャドウ品質/SFX品質は中 視覚効果/シーン細部/モーションブラーは高になる設定 一部のiPhoneやiPadではデフォルトの設定 |
最高 | カスタム項目がほぼ全て高 or 最高のプリセット 高性能なiPad Pro等ではデフォルトの設定 |
全体の画質設定をプリセットごとに変更できます。OSやスペックによって端末ごとにデフォルトで設定されている画質が違います。
デバイスの負荷ゲージが高くなるほど、綺麗なグラフィックでプレイできますが…端末の負荷が増加します。

とはいえ、負荷ゲージはあくまで目安でしかなく”スムーズ”にしたからといって動作が安定するとは限りません。
逆も然りで端末スペックに余力がある場合、負荷が”非常に高い状態”でも問題なく動作します。
プリセットはあくまで固定された設定でしかなく、プリセットよりも最低(最高)の設定に変更する場合はカスタムで変更する必要があります。
明るさ


設定項目 | 明るさ調整バーにより可変(-16/+16) |
Ver.2.6のアップデートで追加されたゲーム内の明るさに関する設定。明るさ調整バーから任意の輝度に変更し、明暗の差を調整できます。
遺跡や洞窟のような暗い場所では明るく、光が強い場所では暗くしてバランスを取り、デフォルト設定では見にくい部分を改善できます。
解像度(特殊な旅人向け)
原神(スマホ版)はPC版と違い表示モード(解像度)の設定項目がなく、内部解像度は各OSごとに異なっています。
非公式の情報ですが…Android版は一律にどんな端末でも720p固定、iOS版はiPhoneが700~800p辺り、iPad等ではそれ以上だと海外では言われてます。(言われているだけで正確な値ではない)
基本的にはこの固定された解像度で遊ぶしかないのですが、Androidでは2つ程度選択肢があり、一つ目は中華圏のメーカー(OnePlus等)の端末だと中国版の原神を810p化して遊べたりします。
もう一つはMagiskなどを用いてroot環境を構築したAndroid端末であれば、GLToolsを使うことで擬似的にアップスケーリング的なことをして1080p(FHD)や2160p(4K)で原神を遊ぶことが可能です。


Android版のデフォルト解像度720pから1080pにスケーリングするだけでもかなり違い、ぼやけていた輪郭や細部がくっきりして目視で違いを確認できるようになります。

スマホで4K原神とか「これ以上無理すると倒れてしまいます」と言いたくなりますが、一応…動作はします。


2160pまでアップスケーリングすると720pとの差は明らかで、本棚奥の雪山の写真やら並べられている本や床のタイルの並びまで見分けがつくレベルです。

陰影や光の反射や当たり具合も細かくなるようで、疑似4K化したAndroid版だとPC版の1080pに近いくらいまで綺麗になります。ただし、アップスケーリング後は重すぎて動作させるだけでも要求スペックが跳ね上がります。
最高画質設定だとギリギリ常用可能な範囲は800~1080p、4Kは現行の最上位(Snapdragon 8 Gen 2)で何とか20~30fps辺りらしいので、ほぼスクリーンショット越しの写真撮影専用モード・ベンチマークって感じです…。
カスタム
レンダリング精度

設定項目 | 最低・低・中・高 |
3D解像度をどの程度細かく描画するかの設定です。影響があるのは3Dオブジェクトのみで、アイコン等の2Dには影響しません。
最低~低設定だと解像感がなくぼやけており、くっきり感が全体的に薄くギザギザが強めで輪郭も潰れてます。
最低と高だとまるっきり違いますが、最低と低はほぼ違いがなく、中と高が若干の違いを感じる程度です。


フレームレートの次に重要な設定なので、他の項目を削ってでも中以上に設定した方が良いです。
シャドウ品質

設定項目 | 低・中・高 |
影の描写設定です。
低ではぼんやりしたキャラクター周囲の円状の影しか描画されません。中以上だと召喚物や武器、景観含めて描画されます。中と高の差分は影の滑らかさと濃さで、中は所々ギザギザだったり薄細い影です。
ちなみに召喚物と言っても旅人のお供には例外があるようで、エンドラーやからくり・留雲は影があるのですが、小仙霊やリルパァールは影がなく描画されません。


雲や洞窟、屋内外の陰影も影響があり、ゲーム内の時間が日中でも影の品質次第で印象がかなり変わります。


視覚効果


設定項目 | 低・中・高・最高(iOSのみ) |
シャドウ品質とは別枠の影に対する深度や環境光に影響する視覚的な設定です。iOS版だと一つ上の最高まで設定できます。
物体に対して日陰になる部分で影響及び差が出やすく、陽の光の下や解像度が720pでは殆ど差がありません。
草の揺らぎに対して影がなく中設定では地面の緑と一体化していたものが、高では影が生じて明確に揺らいでいることが分かるようになります。
長らくその効果や違いを体感できず、明確な比較を用意できませんでしたが…太陽光の影響がない白夜状態の深下宮にてようやく差分を見つけられました。まぁ…意識しないと気付きにくい程の差しかないです。
GLToolsで解像度をアップスケーリングした場合も影響を受け、建物や構造物が生み出した影に影響が出ており、高だと描画し過ぎて謎の黒い並びが発生し逆に違和感が出ています。

アップスケーリングで解像度を変更した状態で低にした場合はゲーム内のX/Y/Z軸に影響したのか…それとも外的要因なのか不明ながら、画面の描画がおかしなことになります。

SFX品質


設定項目 | 最低・低・中・高 |
元素スキル・爆発など…エフェクトの品質設定です。
水元素の攻撃モーションだと差が分かりやすく、元素系のエフェクトやその他一部の発光する武器などのオブジェクトにも影響します。
ちなみに凄く地味ですが…元素爆発が溜まったときの表示状態もSFX品質で若干変化するみたいです。

フレームレート
設定項目 | 24・30・45・60・120 (24はAndroid、120はiOSのみ) |
1秒間に何回画面を切り替えるかの設定です。
24に設定すると明確に動作がカクカクしていて、60では滑らかに動きます。
24/30fpsと45/60fpsではゲームプレイに影響するレベルで快適度が違い、甘雨や神里綾人、リサなど一部キャラクターの元素スキル・爆発のヒット数にも影響します。
基本45fps以上推奨です。他の設定を下げても45fpsすら安定しない端末は原神をプレイする以前の問題です。
シーン細部

設定項目 | 最低・低・中・高・最高 |
テクスチャ品質の設定です。(Ver.1.x時代は総合設定だった項目)
文字通りシーンの細かい部分の描画に影響します。低と中に明確な差がありますが…それ以外は多少程度の差です。
最低だと細部が描画されず、古いゲーム機のグラフィックみたいなショボさになったりします。レンダリング精度と同じで中以上に設定した方が良いです。


シーン細部変更時は再起動後に一部設定が反映されますが、殆どは再起動しなくても反映されます。
アンチエイリアス

設定項目 | None・TAA |
境界線のギザギザをなめらかにする設定です。
Noneだと全体的に境界線などの部分にジャギーが発生してギザギザしてます。
レンダリング精度が最低だと最も効果を実感しやすく、中設定以上だと3Dの描画が細かくなるのでNoneでも多少カバーされます。(低設定でも綺麗に視えるのはTAAが良く効いているためかも)
モーションブラー


設定項目 | OFF・低・高・非常に高い |
カメラ移動やキャラクターのモーションなどでブレる表現処理を行うかどうかの設定です。
30(24)fpsかつモーションが高速なキャラで、OFF or 非常に高い…の両極端でしか差を実感できないです。
また、かなり負荷の掛かる処理です。ブレる処理が不要であれば無駄な負荷になるのでOFFを推奨。
Bloom



設定項目 | OFF・ON |
Bloomはグラフィックの明るい部分を滲ませる光源表現の設定です。ONではあからさまに”発光してる感”が出ます。
Bloomの有無で雰囲気が結構違ってきますが、この辺りは好みで変更して下さい。
人群れの密度


設定項目 | 低・高 |
ゲーム内で登場するNPCの数に変更がある設定です。低設定にすることで名無しのモブキャラを居ない状態にできます。
スメールシティのような重い場所では効果があるかもしれませんが、高から低にする理由は特に無いです。
原神翻訳ミスの1つで、何故かNPC人口密度ではなく”人群れの密度”という謎の訳され方がされており、初期の頃からずっと放置されたままです。
マルチプレイ時、チームメイトのSFX




設定項目 | ON・一部ブロック・完全にブロック |
マルチプレイ時に他プレイヤーのSFXエフェクトをブロックする設定です。”ON”ではそのまま表示され”完全にブロック”だと自キャラのSFXエフェクト以外は消えます。
創造物系のオブジェクトだと、創造した物体そのものがその場から消えるため、画像のように透明な何かに登っているシュールな状態になります。
重いSFXエフェクトが自キャラのみになることでマルチプレイ時に、端末への負荷率を和らげることができますが”一部ブロック”はSFX品質にも影響が少なく、あまり効果が無かったです。
スマホ版の動作に必要なスペック
原神公式(miHoYo)が公表しているスマホ版のシステム要件は以下の通りです。
必要スペック | 対応可能 | 推奨 |
OS | Android 7 | Android 8.1 |
iOS 9.0 | iOS 12 | |
SoC | Snapdragon 835 (ARMv8-A 64-bit) | Snapdragon 845 Kirin 810 |
A11 Bionic(iPhone 8 Plus)以上 | ||
RAM | 3GB以上 | 4GB以上 |
ストレージ | 8GB以上の空き容量 |
2020年9月のままで更新されておらず、はっきり言えばかなり古いデータです。
未だにこれを推奨だと思っている旅人がチラホラいるみたいですが…この推奨スペックは中画質30fpsで遊べるかどうか瀬戸際のものです。
実機のフレームレートを計測・検証する
テスト環境・内容
手持ちのSnapdragon 855~Snapdragon 8 Gen 1搭載機を用いて原神のフレームレートを計測、どの程度fpsが出るか検証します。(以前使ったSnapdragon 845は論外&需要皆無なので除外)
テスト内容はモンド・スメール・秘境挑戦を最高画質60fps設定で合計35分弱プレイし、Android・iOS向けのFPS計測ツール「WeTest PerfDog」を用いてデータを計測します。

スペックや仕様をざっくり記すと以下の通りに。
Mi 9T Pro | LG V60 ThinQ | Mi 11i | POCO F4 GT | |
OS | Android 13 | Android 12 | Android 13 | Android 13 |
crDroid | LG UX | Project Elixir | euROM | |
SoC | Snapdragon 855(OC) | Snapdragon 865 | Snapdragon 888 | Snapdragon 8 Gen 1 |
RAM | 6GB(LPDDR4X) | 8GB(LPDDR5) | 8GB(LPDDR5) | 8GB(LPDDR5) |
ストレージ | 64GB(UFS 2.1) | 128(UFS 3.0) | 128(UFS 3.1) | 128(UFS 3.1) |
LG V60 ThinQ以外の端末は全て、カスタムROMやMagiskモジュールを導入し性能を調整しています。
Mi 9T Pro(Snapdragon 855)はGPUを810MHzにオーバークロックし、Snapdragon 865よりGPU性能が高い状態に。
Mi 11i(Snapdragon 888)はスロットリングの無効化、POCO F4 GT(Snapdragon 8 Gen 1)はGPUをダウンクロック&低電圧化により、定格の状態より性能の継続力を無理矢理伸ばしています。
とはいえ、いまいち性能をイメージしにくいと思うので本当はあまり良くないのですが…”わかりやすさ”を考慮して各端末のAntutu V9.4.8スコアを載せておきます。

モンド(星落ちの谷)
まずは七国のうち、最初に訪れるモンドの”星落ちの谷”周辺を15分弱散策してモンドでの動作を確認。

計測結果 | Mi 9T Pro | LG V60 ThinQ | Mi 11i | POCO F4 GT |
Snapdragon 855(OC) | Snapdragon 865 | Snapdragon 888 | Snapdragon 8 Gen 1 | |
フレームレート (平均) | 46.2fps | 44.9fps | 58.5fps | 55.6fps |
スムーズ度 | 9.5 | 8.5 | 5 | 4.4 |
CPU温度(平均) | 82.4℃ | 65.7℃ | 68.3℃ | 72.4℃ |
GPU温度(平均) | 82.2℃ | 61.4℃ | 69.2℃ | 68.4℃ |
バッテリー温度 (平均) | 37.1℃ | 33.9℃ | 34.7℃ | 39.9℃ |
消費電力(平均) | 7595mW | 6783mW | 9038mW | 7393mW |
FPower(mW) | 164 | 151 | 154 | 133 |
モンドはリリース初期かつ殆どが平原でとても動作の軽いマップのため、テスト端末全てが平均で約45fps以上フレームレートを出せていました。
Snapdragon 888では60fpsに近い58.5fps、オーバークロックしたとはいえSnapdragon 855ですら45fpsを超えています。やけに結果の悪いLG V60 ThinQについては後述します。
基本的にモンドはSnapdragon 865~888辺りでとても快適に動作する程度に軽いです。
最近ではスマホ・ガジェット系のレビュアーがモンドが軽いことを理解せず、空(蛍)・アンバー・ガイア・リサの初期メンバーでプレイし「原神も余裕」「ぬるぬる快適にプレイできる」と豪語し、挙げ句の果てには60fps動作を勘違いして「最高のゲーミング性能」などと嘯く原因になっています。
スメール(千尋の砂漠)
テイワット七国の折り返しであり、マップの構造も複雑で表現の増えたスメール”千尋の砂漠”を15分弱散策してスメールでの動作を確認。

計測結果 | Mi 9T Pro | LG V60 ThinQ | Mi 11i | POCO F4 GT |
Snapdragon 855(OC) | Snapdragon 865 | Snapdragon 888 | Snapdragon 8 Gen 1 | |
フレームレート (平均) | 40.9fps | 38.8fps | 52.6fps | 55.4fps |
スムーズ度 | 11.2 | 10.1 | 6.1 | 4.8 |
CPU温度(平均) | 83.9℃ | 64.8℃ | 75.4℃ | 85℃ |
GPU温度(平均) | 82.7℃ | 59.7℃ | 76℃ | 75.8℃ |
バッテリー温度 (平均) | 39.1℃ | 33.4℃ | 41.9℃ | 36℃ |
消費電力(平均) | 7354mW | 6591mW | 9152mW | 9499mW |
FPower(mW) | 179 | 169 | 174 | 171 |
スメールはモンド比で負荷が高くPOCO F4 GT以外は全体で5~7fps弱、平均フレームレートが落ちています。
Snapdragon 8 Gen 1は腐っても高性能なので、高負荷時に他より多少は低下しにくいのかもです。
平均50fps以上で動作したのはMi 11iとPOCO F4 GTのみ。モンドで平均46fps出ていたMi 9T Proはなんとか平均40fpsですが、LG V60 ThinQは40fps以下の平均38fpsにまで低下。全然ダメです。
miHoYo次第ですが、今後のマップもスメール同様に色々追加されて要求スペックが上がることを考えると、モンドでは快適に動くが他の国では重く遊べない…なんて自体も多発すると思います。
軽いモンドだけ動作チェックをして「最高のゲーミング性能」などと言ってしまうレビュアーは、この場合嘘つきになってしまいます。
征討領域:淨琉璃工房(七葉寂照秘密主)
最後に原神内では一番動作の軽い部類な秘境挑戦でもテスト。
クソデカロボ「七葉寂照秘密主」の征討領域:淨琉璃工房で少し時間を掛け5分弱プレイして計測。螺旋やイベント以外で5分も秘境にいる旅人は居ないと思いますが…。

計測結果 | Mi 9T Pro | LG V60 ThinQ | Mi 11i | POCO F4 GT |
Snapdragon 855(OC) | Snapdragon 865 | Snapdragon 888 | Snapdragon 8 Gen 1 | |
フレームレート (平均) | 54fps | 53.9fps | 59.8fps | 60fps |
スムーズ度 | 6.4 | 5.9 | 3.9 | 1 |
CPU温度(平均) | 81.1℃ | 67.3℃ | 64.8℃ | 68.8℃ |
GPU温度(平均) | 83.6℃ | 68℃ | 68.4℃ | 63.5℃ |
バッテリー温度 (平均) | 34.9℃ | 35.1℃ | 32.1℃ | 28.6℃ |
消費電力(平均) | 8045mW | 7465mW | 9057mW | 8356mW |
FPower(mW) | 148 | 138 | 151 | 138 |
螺旋や聖遺物・天賦素材などの秘境挑戦はテイワット(オープンワールド)ではないので非常に軽く、テスト端末全てが平均50fps以上フレームレートを出せており、負荷もモンドより圧倒的に軽いです。
POCO F4 GT(Snapdragon 8 Gen 1)は平均60fpsかつスムーズ度1、Mi 11i(Snapdragon 888)が次いで59.8fpsかつスムーズ度3.9で快適に動作。
重そうに見える七葉寂照秘密主の諸相浄化(王の財宝)シーンでもこの2つは60fps前後を維持できていましたが、Mi 9T ProとLG V60 ThinQは耐えきれないのか48~50fps台に落ちました。軽い負荷の秘境なのに。
まぁ…居ないとは思いますが、秘境挑戦は低負荷で温度上昇も緩やかなので戦闘時の瞬間的なドロップフレーム(ジャンク)はあっても、30分とかプレイした場合でも大多数の端末が安定動作すると思います。
もし仮に、秘境挑戦だけ1時間近くテストして「長時間遊んでも快適」とか寝言を言う輩が居たら、最早それは頭ヒルチャールです。
計測・検証結果まとめ
計測データのフレームレートと温度についてグラフにまとめます。

3つのテストのフレームレート結果を合計した平均パフォーマンスは上から、POCO F4 GT(Snapdragon 8 Gen 1)が57fps、Mi 11i(Snapdragon 888)が56.9fps、LG V60 ThinQ(Snapdragon 865)が45.8fps、Mi 9T Pro(Snapdragon 855)が47fpsでした。
原神ではSnapdragon 8 Gen 1と888でベンチマーク差ほどの優位性はないです。
ついでにオーバークロックしたSnapdragon 855に、865が3つのテストを合計した値ですら打ち負かされてしまいました。

平均バッテリー温度はオーバークロックしたMi 9T Pro(Snapdragon 855)が37℃でトップ、時点にスメールで40℃を超えたMi 11i(Snapdragon 888)、失敗作とまで言われたPOCO F4 GT(Snapdragon 8 Gen 1)はダウンクロックと低電圧化により、Samsung 4nmながらそこまで爆熱にならず。元々の冷却機構は優秀でその恩恵もあります。
ダメダメというか”そういう風”にソフトウェア制御されているLG V60 ThinQ(Snapdragon 865)は、パフォーマンスが全く振るわない代わりに温度は冷え冷えでした。期待していた私の気持ちも冷え冷えですが。

最後に1フレーム辺りの消費電力(FPower)からワットパフォーマンスを見ると、トップはGPUを640MHzにダウンクロックし、動作電圧をSVS-L1に低電圧化したPOCO F4 GT(Snapdragon 8 Gen 1)が平均147mW。
2番目はパフォーマンスが持続しないソフトウェア制御がされている、LG V60 ThinQ(Snapdragon 865)が平均152mW、3番目はMi 11i(Snapdragon 888)で平均159mW。
ワーストはTSMC 7nmとはいえオーバークロックで無理矢理性能を引き上げ、電力効率を度外視したMi 9T Pro(Snapdragon 855)が平均163mWでした。
全て順当な結果で性能と発熱・消費電力はトレードオフ、悪名高いSnapdragon 8 Gen 1は腐っても高性能かつ先端技術を用いて”は”いたSoCなので、フルパワーで動作させなければSnapdragon 888より効率はマシになります。
Snapdragon 888も下手な機種では平均40fpsすらやっとなものが多いですが、OSとSoCの制御さえ間違えなければSnapdragon 8 Gen 1に勝るとも劣らない結果(フレームレート)を出せました。
Snapdragon 855のような旧世代機でも常用と電力効率を度外視でオーバークロックすれば、LG V60 ThinQみたいな下手な上位機を負かすこともあります。とはいえこれはあくまで一例です。
推奨スペックをまとめる
推奨スペックの目安
ネット上にある原神の計測結果や自分で検証したデータを元に考えられる、原神(スマホ版)に必要となる比較的マシな推奨スペックの目安はこんな感じです。
最高画質60fps:デフォルト解像度 | |||
動作目安 | 最低限(平均45fps~) | まぁ快適(平均50~55fps) | とても快適(平均56~60fps) |
SoC | Snapdragon 778G Plus Snapdragon 855(860) Dimensity 1200 | Snapdragon 865(870) Snapdragon 888 Snapdragon 8 Gen 1 Dimensity 8100 Dimensity 9000 | Snapdragon 8+ Gen 1 Snapdragon 8 Gen 2 Dimensity 9200 |
A13 Bionic | A14 Bionic | A15 Bionic Apple M1(M2) | |
RAM | 6GB(LPDDR4X)以上 | 6~8GB(LPDDR5)以上 | |
3GB以上(iOS) | 4~6GB以上(iOS) | ||
ストレージ | 64GB(UFS 2.1)以上 | 128GB(UFS 3.1)以上 |
最低限必要な性能は崩壊:スターレイル(β)の推奨スペックに近く、個人的に原神もこのくらいが妥当だと思います。
原神公式の推奨スペックであるSnapdragon 845+RAM4GBはデフォルト設定かつモンドくらいなら遊べますが、稲妻以降の地域では満足にプレイ可能な水準ではなく、Snapdragon 855+RAM6GB以上が必要です。
後発の作品かつプラットフォームが異なるとはいえ、PC版は原神とスターレイルどちらもGTX 1060が推奨なのに、スマホだけ原神はSnapdragon 845で、スターレイルをSnapdragon 855にした意味が分からないので…恐らく原神のスペックが間違っているのだと邪推してます。
ただ”最低限”の通り、Snapdragon 855+RAM6GB辺りの性能はスメールがギリギリ遊べるくらいのラインです。
とりあえずSnapdragon 870や888搭載機であれば、最高画質60fpsでも平均50fps以上で遊ぶことは可能です。コストを優先するなら、型落ちのSnapdragon 870や888機を買って自分で端末を弄るのが安上がりです。
Snapdragon 8+ Gen 1以降のSoCは720pには過剰性能とも言えるくらいですが、その余力のある性能を持ってして720pの原神では最高画質でも平均55fps以上を安定して維持できる端末が増えてきています。
勿論、どんなSoCでも端末の冷却設計やOSのクロック制御がまともで”性能を維持できるなら”という前提ですが。
あとは容量もそうですが、ストレージとメモリはなるべく速度の速い規格のものを搭載した端末を選んだ方が良いです。eMMCは論外ですが…LPDDR4やUFS 2.x系もちょっと怪しい。LPDDR5+UFS 3.0以降がベター。
ちなみに目安に入っていないチップベンダーのSoCを搭載した端末は、正直…選ばなくて良いです。
Exynos(Google Tensor)は総合性能の割に最適化不足で原神には向いておらず、KirinシリーズはHuawei専売でGMSが使えず選択肢もKirin 9000系(平均50fps弱)のみなので、今更選ぶ理由がありません。
UNISOCやDimensity以前のMediaTek Helioシリーズは、Exynos(Google Tensor)以下なので論外です。
スペックについて(余談)
今回のテストで全く振るわず、Snapdragon 855(OC)にすら電力効率以外は劣ってしまったSnapdragon 865ですが、これはSoCではなくLG V60 ThinQ(LG UX 10.0)の過剰なサーマルスロットリング制御が原因です。
具体的に言えばバッテリー温度が35℃前後になった段階で、8コアCPU内の高性能コア4基の動作クロックに制限が掛かります。パフォーマンスコアが1.76GHz、プライムコアは1.19GHzまで低下するため性能が出ません。

クロック制御がまともであればSnapdragon 865は平均50fps近くは出せます。
以前の計測データで使用していたAxon 10 Pro 5G(Axon 10s Pro)では、パフォーマンスコア3基が平均2.3GHzの高クロックで動作したため、平均47fpsが出ていました。

どちらの端末もWild Life Stress Testでは安定したGPU性能を発揮していますが、LG V60 ThinQはCPU側の制御が意味不明でSnapdragon 865としての性能を原神では発揮できませんでした。

同様に今回の結果がどれも平均50fps以上のSnapdragon 888(Mi 11i)ですが、PerfDogで計測したモンド以外のデータを羅列すると、OSや動作クロック・制御、GPUドライバーや最適化具合によって全く異なる結果になっています。
原神(最高画質60fps)@Mi 11i | ||||
計測結果 | MIUI 13 (稲妻) | crDroid(GSI) (稲妻) | Evolution X (スメール) | Project Elixir (スメール) |
CPUクロック | 2.84GHz | 2.15GHz | 2.84GHz | 2.84GHz |
GPUクロック | 840MHz | 608MHz (固定) | 708MHz (固定) | 710MHz |
フレームレート (平均) | 37.5fps | 36.6fps | 44.6fps | 52.6fps |
CPU温度(平均) | 66.7℃ | 60.7℃ | 64.9℃ | 75.4℃ |
GPU温度(平均) | 62.1℃ | 68.3℃ | 62.6℃ | 76℃ |
バッテリー温度 (平均) | 43.7℃ | 40.5℃ | 40.2℃ | 41.9℃ |
最たる例として、最も良い結果(電力効率以外は)を残したSnapdragon 8 Gen 1(POCO F4 GT)ですが、AnTuTu Benchmarkでスコア100万オーバーを出し”コスパ”や”ゲーミングスマホ”を連呼されまくったにも関わらず、元々はモンドで平均50.1fps・スメールでは平均46.6fpsという微妙な結果でした。
この3つはOS(UI)側の制御が原因で性能が上手く発揮されないケースの典型例だと言えます。
カスタムROMやMagiskモジュールを導入し、性能を調整することで今回の結果になりましたが…。
何が言いたいか簡潔に言えば、原神にはカタログスペックやベンチマークテストの結果は通用しません。グラフでまとめたようにベンチマークスコアの優位性が大してない場合もあります。
「原神 スペック」とかでググると、何かとベンチマークスコアの話がされますが…ほぼ無意味です。実機でフレームレートを計測してみるまでパフォーマンスは分かりません。
リリース当初に「原神の動作が重い場合は低設定にしよう!」とか「要らないアプリをアンインストールしたり端末を再起動しよう!」と書いていた、企業の攻略サイト並みに無意味だとはっきり言っておきます。
普段プレイしている設定
おまけで私が普段、Snapdragon 888(Mi 11i)で原神をプレイしている際の設定を書いておきます。
性能は上ながらSnapdragon 8 Gen 1(POCO F4 GT)は気に入ってないので、原神にはあまり使ってないです。
当然の話ですが…脳死で最高設定+60fpsにするのは無駄が多いです。モーションブラーは不要ですし、視覚効果やシーン細部は720pだと高(最高)にするほどの差はないです。不要なところは落としてます。

この設定+デフォルト解像度の720pだと画質はこんな感じです。



この設定で、Snapdragon 888(Mi 11i)でスメール(千尋の砂漠)を30分散策して「TakoStats」でデータを計測してみると、平均57fps/平均消費電力7839mW/FPowerは147mWになりました。

脳死で最高設定にしていた場合の平均52.6fpsから5fps上昇し、消費電力は9152mWから1313mW減少、1フレーム辺りの消費電力(FPower)も27mW減少しました。
30分スメールを遊んで平均57fpsかつ消費電力も減り、元々Snapdragon 888のサーマルスロットリングを無効化しているため、この設定で720pなら1時間くらいは平均50~55fpsで遊べそうです。
繰り返しにはなりますが、原神(スマホ版)を脳死で全部最高設定にするのは無駄でしかありません。
余計な消費電力や負荷で発熱が生じ、fpsにも悪影響なため不要な設定は削って下さい。モーションブラーをOFFにするだけでもマシになります。
あとがき
螺旋やらストーリーを腰を据えてしっかりプレイする際は相変わらずPC版なのですが…思いの外、気に入ってしまったMi 11i(Redmi K40 Pro+)でデイリー消化や樹脂の合成、Play Pointsで課金をケチるのにスマホ版を使ってます。
元々はスマホ版の画質設定の情報を調べてもあまり情報が無かったので書いたこの記事ですが、Ver.1~2.4までは半分クソ記事、Ver.3.0でスメールが来てギリギリ見れる程度に修正し、方向性は間違って無かったのですが、如何せん私自身のスマートフォンやSoC、OS、クロック制御、ユーザー側でできる調整について知識不足でだったので良い内容とは言えませんでした。なので1から書き直しました。
今もまだまだ学ばないといけない部分が多いですが、画質設定の差分や今でも実機データの少ないfpsを計測した試行錯誤と調べた情報をそれっぽくまとめた、この記事が何かしらスマホ勢の旅人さんの参考になれば幸いです。
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